地域に競合が増えたとき、院長がやりがちな「五つの失敗」
都市部で新たな競合医院がオープンするたびに、中規模医院の院長は経営への不安を感じます。その不安が、院長の経営判断を歪めます。現場でよく見る失敗パターンを整理します。
一つ目は、大学の先輩や同期の医院が導入した診断機器を真似することです。地域も経営資源も院長の器も違うのに、成功事例だけを見て同じ投資をしようとするのです。二つ目は、大規模歯科医院を競合と勘違いして真似をすることです。三つ目は、競合に対抗しようと自費価格を下げること。値下げにより利益が大幅に削られ、収益構造が悪化します。四つ目は、経営への不安から品揃えを増やすことです。どの対策も中途半端になり、強い柱が育ちません。五つ目は、広告費を増やして新患獲得に動くことです。バケツの穴が大きいまま新患を集め続ける自転車操業では、コストだけが膨らみます。
これらに共通しているのは、競合への反応として動いているという点です。競合を見て動く限り、競合の土俵で戦い続けることになります。
大規模医院は「同質化戦略」で勢いのある中規模医院を抑えにくる
ここで知っておくべき重要な事実があります。大規模歯科医院は、勢いのある中規模歯科医院に対して意図的に同質化戦略を取ることがあります。中規模医院が力を入れている診療コンテンツを大規模医院が同じように提供し始めると、規模によるブランド力と資金力の差で中規模医院は不利になります。
だからこそ、中規模医院の院長が取るべき対応は、大規模医院が同質化できない分野でエッジを立てることです。大規模医院は組織が大きい分、小回りが利かない領域があります。特定のニーズを持つ患者層への深い専門性、地域コミュニティとの密な関係性、院長個人のニッチな専門技術。こうした領域は、勤務ドクターが多い大規模医院が真似しにくい強みになります。そして大規模歯科医院にも経営資源が足りずに強化できていない領域が必ずあるのです。
中規模医院の競合は「大規模医院」ではない
中規模に留まっている医院が犯しやすい認識の誤りがあります。大規模医院を主な競合と捉えることです。しかし実際に患者を奪い合っているのは、同じ地域の同規模の医院であることがほとんどです。
大規模医院はマーケット需要の真ん中を取りにいきます。だから中規模医院がそこに踏み込まない限りバトルフィールドが重なるわけではありません。大規模医院の動きを気にしすぎて相手のバトルフィールドに踏み込み自院が得意とするポジションを見失うより、自院が狙う患者層のニーズとウォンツに対して誰よりも深く応えることに集中する方が、経営的に正しい判断です。
先生の医院は今、誰と戦っていますか。その相手は本当に競合ですか。競合の定義を正確にすることが、次の戦略を考える出発点になります。次回は、都市部の中規模医院が見つけるべき「空いているポジション」の探し方を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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