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◆歯科医院経営ブログ

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歯科医院でスタッフが自然に動き出す仕掛け【第2回】担当患者を「自分ごと」にする—患者ノートとサブカルテの使い分け  [2026年07月17日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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「必要だから行く歯科医院」から「会いたいから行く歯科医院」へ

定期管理で継続来院してくれる患者と、治療が終わると来なくなる患者の違いはどこにあるのでしょうか。医療の質だけが理由ではありません。あの会話が上手な歯科衛生士さんに会うのが楽しみだから、自分のことを覚えていてくれるからという感情的なつながりが、患者を定期的に医院へ引き寄せる力になっています。

患者にとって歯科医院への通院は、多くの場合「必要だから行く場所」です。しかし担当の歯科衛生士との信頼関係が育つにつれ、「○○さんに会うのが楽しいから行く場所」に変わっていきます。この変化が、LTV(患者生涯価値)を高め、リピート型収益の基盤をつくります。

その変化を生み出す鍵が、担当患者を「自分ごと」として深く理解するという歯科衛生士の姿勢と、それを支える仕組みです。

もちろん、患者との会話も個人力に頼らずに仕組み化してトレーニングしていくことが必要です。患者コミュニケーションは治療技術と並ぶもう一本の柱だからです。

コミュニケーションが上手な歯科衛生士が、自然にやっていること

患者との関係づくりが得意な歯科衛生士には、共通する習慣があります。施術後に患者との会話の内容を記録しておくことです。たまに、自分オリジナルの患者ノートをつけている歯科衛生士に出会います。「〇月〇日、子どもさん(〇〇くん)の運動会の話をした」とノートに記録があれば、「運動会どうでした?」という会話からスタートする。患者に「私が言ったことを覚えていてくれる」という体験を届けます。

患者が「覚えていてくれた」と感じたとき、次第に患者の側から話してくれるようになります。一度そうなると、来院のたびに会話が深まり、信頼が積み重なっていきます。この循環が生まれている歯科衛生士の担当患者は、キャンセルが少なく、定期管理への移行率が高い傾向があります。

先生の医院の歯科衛生士は、前回の来院時に患者と何を話したかを記録していますか。次回の来院時に、その記録をもとに声をかける仕組みがありますか。

患者ノートに「何を書くか」、四つの記録

患者を深く理解するための記録には、大きく四つの領域があります。

一つ目は「好きなこと・苦手なこと」です。会話が苦手な患者もいます。人の話を聞くのは好きだが自分から話すのは苦手という患者もいます。その患者が心地よいと感じる距離感と会話のペースを把握しておくことが、心理的安全性を確保することにつながります。相手が心地よいパーソナルスペースをキープすることが、長期的には患者との距離を縮めることになります。

二つ目は「前回の会話の内容」です。運動会、旅行、仕事の繁忙期、お子さんの受験・・・。患者が話してくれたことを短くメモしておくだけで、次回来院時の会話の入口になります。「言ったことを覚えていてくれる人」は、患者にとって信頼できる存在になります。

三つ目は「パーソナルな情報」です。家族構成、趣味、仕事の内容、休日の過ごし方、好きなお店。こうした情報の積み重ねが、患者理解を深めます。生活習慣の把握は口腔ケアの指導にも直結しますが、それ以上に「この歯科衛生士は自分のことを本当に理解してくれている」という実感が、信頼関係の核になります。

四つ目は「ホットポイントと地雷ポイント」です。この患者が特に喜ぶ話題は何か、逆に触れてはいけない領域はどこか。こうした主観的な気づきは、担当歯科衛生士だけが感じ取ることのできる貴重な情報です。

サブカルテと患者ノート、書く場所を分ける理由

ここで重要な視点があります。記録する場所を使い分けることです。口腔内の状況や配慮が必要な医療情報はサブカルテに記録します。産休や異動などで担当が変わるとき、引き継ぎに必要な情報はここに集約されるべきです。

一方、ホットポイントや地雷ポイント、患者との会話から生まれた主観的な印象は、個人で持つ患者ノートに書きます。主観が入った情報をサブカルテに記載すると、産休などで代わりに担当する歯科衛生士に余計な先入観を与えてしまうリスクがあります。「この患者は話しかけても反応が薄い」という記録が残っていると、代わりの歯科衛生士が最初から距離を置いてしまうかもしれません。先入観のない状態で患者と向き合うことが、新しい担当との信頼関係づくりの第一歩になるからです。

便利なデジタルサブカルテが普及している今、記録のツールは整ってきています。しかしツールがあるだけでは活用は進みません。何を書くか、患者とどうコミュニケーションを取るかを具体的に示し、ロールプレイングで練習する機会をつくることが、記録を活用する文化を医院に根付かせることになります。

仕組みとして組み込む、担当制と記録を連動させる

患者ノートやサブカルテの活用を個人の努力に任せると、できる歯科衛生士とできない歯科衛生士の差が開いていきます。この差を縮めるには、記録を「個人の習慣」から「医院の仕組み」に変えることが必要です。

具体的には、担当制の設計と記録の習慣をセットで導入することです。担当患者が決まったら、来院のたびに前回の会話内容とパーソナル情報を更新する。次回来院前に記録を見返して声かけの内容を準備する。この流れを診療の中に組み込むことで、コミュニケーションの質は歯科衛生士個人の能力だけに依存しなくなります。

「必要だから行く歯科医院」から「会いたいから行く歯科医院」への転換は、一人の優れた歯科衛生士の存在だけでは実現しません。チーム全体が患者を「自分ごと」として関わる仕組みがあって初めて、医院としての継続来院率とLTVが変わります。

まとめ

担当患者を「自分ごと」にするための記録には四つの領域があります。患者の好き嫌いと心地よい距離感、前回の会話の内容、パーソナルな情報、そしてホットポイントと地雷ポイントです。記録する場所はサブカルテと個人の患者ノートで使い分け、主観情報が他の担当者への先入観にならないよう配慮することも大切です。ツールが整うだけでは文化は生まれません。何を書くかを具体的に示し、練習する場をつくることが、記録を医院の仕組みに変える鍵になります。

 

患者が「あの歯科衛生士さんに会いたい」と感じる医院をつくるお手伝いができれば幸いです。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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