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◆歯科医院経営ブログ

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「週1回30分」が医院を変える【第4回】「指示をする前に動く」幹部を院長がつくるまで  [2026年07月15日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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「どうなっている?」と聞く必要がなくなったとき

組織づくりが一定のステージに達した医院では、院長と幹部の週1回の確認の場は、こんな風景になります。院長が「〇〇についてはどうなっていますか」と聞く。幹部が取り組んでいる状況と次の一手を答える。院長は「〇〇の場合はどうしますか?」と気づきの質問をしながら「引き続きお願いします。サポートが必要なら言ってください」と返す、それで終わる。

院長が問題を発見して指示を出すのではなく、幹部が自ら課題を見つけ、解決に向けて動いている。院長は進捗を確認し、必要なら支援を申し出る。この状態が、権限委譲が本当の意味で機能しているサインです。

しかし多くの医院では、週1回の確認の場が「院長が状況を把握して指示を出す場」になってしまいます。それ自体は悪いことではありませんが、そこから一歩進んだ状態(幹部が院長に聞かれる前から動いている状態)に医院をどう導くかが、組織づくりの次のテーマになります。

権限委譲が完成している状態とは何か

権限委譲が完成しているとは、幹部が次に医院が取り組むべき課題を理解し、院長に確認を求める前から対策が動いている状態です。任された権限の範囲では、幹部が自分で判断し、課題を見つけ、結果を出す存在として動いています。

「権限=責任」という認識が幹部の中にあるとき、この状態が生まれます。任されたことに対して、自分が責任を持って判断し結果を出す。もちろん、院長への定期的な報告は必要です。しかし報告は「結果と次の方針を伝えること」であって、「どうすればいいかを聞くこと」ではありません。

先生の医院の幹部は、院長に聞かれる前から動いていますか。それとも、院長が「どうなっている?」と聞いて初めて動き始める状態が続いていますか。

「二重権限」が幹部を指示待ちに戻す

権限委譲がうまくいかない医院に共通する失敗パターンがあります。「二重権限」です。幹部が判断して動こうとしたところに、院長がその上から別の指示を重ねる。幹部が立てた計画を実行前に院長が評価して修正させる。こうした行動が積み重なると、幹部は「一生懸命考えてもどうせ院長が否定する」と学習し、自分で判断することをやめ始めます。

院長にとっては、細かく関与することが「丁寧なマネジメント」のつもりかもしれません。しかしスタッフを育てる視点から見ると、それは自律的に動こうとする芽を摘む行動になっています。子育てで過干渉が子どもの自立を遅らせるのと、まったく同じ構造です。

院長がコントロールを手放すことへの不安は自然な感情です。しかしその不安に負けて二重権限が生まれると、幹部は指示待ちに戻り、院長はいつまでも現場の細かい判断から解放されません。権限を渡すとは、責任も一緒に渡すことです。そして「結果の責任は最終的に院長が取る」という覚悟がなければ、本当の意味での権限委譲はできません。

院長は失敗しても立場上誰からも責められないが、幹部スタッフは失敗すると院長からダメ出しされる。そんな医院が多いと思います。

権限委譲は「平時」に進める

もう一つ、現場でよく見る失敗があります。院長が経営的な不安を抱えているときに権限委譲を試みるケースです。不安が高まると、院長はコントロールしようとする行動に戻りやすくなります。せっかく幹部に任せ始めていたことを、不安をきっかけに引き戻してしまう。

有事はトップダウンが原則なので権限委譲は平時に進める方がよいと、現場を見ていてつくづく感じます。余裕があるときに、時間をかけて幹部を育て、段階的に権限を渡していく。「うまくいくやり方を丁寧に教え、教えながら任せ、成功体験を積んだら任せきる」。この順序を踏まなければ、権限委譲は丸投げになります。

また、「任せる」と言いながら、上手くいくやり方を丁寧に教えていない院長も少なくありません。幹部が「どう判断すればいいか」の基準を理解していなければ、任された幹部は途方に暮れます。院長が「自分の医院に合う正しい組織づくりの方法」を理解した上で進めなければ、権限委譲は机上の話にとどまります。

週1回30分の幹部との場を、どう設計するか

権限委譲が進んだ段階での週1回の幹部との確認の場は、三つの問いを軸に設計することをお勧めします。

一つ目は「目的と目標に向かって動けているか」です。医院の理念と数値目標に対して、各幹部の担当エリアで何が進んでいるかを短く確認します。二つ目は「数値の動きに気になる点はないか」です。幹部が自分のエリアの数値を把握していて、異変に気づいているかを確認します。三つ目は「チームの中で解決が必要な問題はあるか」です。幹部一人では解決できない問題があれば、院長がサポートを申し出ます。

この場での院長の役割は、指示を出すことではありません。幹部が自律的に動いているかを確認し、必要なときだけ支援を差し伸べることです。院長が「指示を出す前に動いている幹部」をつくることが、この週1回30分の最終的な目標です。

シリーズを振り返る。週1回30分が医院を変える理由

このシリーズでは、週1回30分という小さな時間の積み重ねが医院をどう変えるかを四つの角度から述べてきました。第1回では、機能するミーティングには「目的・目標・成果の確認方法」を事前に設計した運営者の準備が必要であることを論じました。第2回では、月の第一週に数値を確認し即日対策を決めることが目標達成の習慣をつくることを述べました。第3回では、数値(手段)ではなく目的を先に語ることがスタッフの動機に火をつけることを示しました。そして第4回では、院長が「指示をする前に動いている幹部」をつくるまでの権限委譲のプロセスを論じました。

 

歯科界にも外から様々なマネジメント手法が持ち込まれ、中には次々と流行りのマネジメント手法に切り替える院長もおられます。こまめにスタッフ面談をしていたのに急にしなくなったりもする。しかし、医院の状況に合っていなければスタッフは型にはめられ振り回されるだけ。場合によっては組織の力も弱くなるのです。チームメンバーそれぞれが持つ力量と可能性(経営資源)、そして院長としての成長度(器)によって作れる(機能させられる)組織は違う。どんなチームでも機能させられるマネジメント手法(型)などは存在しないのです。

完璧な仕組みを一気に整える必要はありません。週1回30分という小さな時間から始め、長い時間をかけてチームメンバーを育て続けることが、医院の文化を少しずつ変えていきます。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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