「患者さんの継続来院率が向上しない」
「主訴の治療が終わると、そのままフェードアウトしてしまう」
「う蝕治療から定期管理に移行しない患者が多い」
こうした声を、院長から聞くようになりました。
患者が来なくなった理由として、よく挙げられるのは
「忙しいから」
「仕事や子育てで時間がないから」
という説明です。
しかし、本当にそれだけが理由なのでしょうか?
若年層のう蝕率低下が意味するもの
まず、構造的な変化として押さえておく必要があるのがう蝕需要そのものの変化です。
・若年層のう蝕率は明らかに低下
・う蝕需要は、高齢者層が支えている
・しかし、その高齢者層も今後は徐々にマーケットから退出していく
地域によって時期の差はありますが、「う蝕治療を前提とした外来需要」は、確実に先細りしていく。
この流れは避けられません。
にも関わらず、
歯科医院の収益モデルが「痛くなったら来る」「治ったら終わり」のう蝕治療型のままでは、患者数が減るのは自然な結果なのです。
「忙しいから通えない」は本当の理由か?
患者が「忙しい」と言う時、それは必ずしも時間がないことだけを意味していません。
多くの場合、その言葉の裏には、
・今、行かなくても大丈夫だと思っている
・後回しにしても困らないと感じている
・自分の生活の中で優先順位が低い
という心理があります。
つまり、来院の必要性や意味を、患者自身が感じていないという状態です。
治療が終わった後、医院は何を提供できているか
治療中心型の医院では、「治療が終わった=提供価値が終了」になりがちです。
しかし、患者の立場で考えると、治療が終わった後に残るのは、
・再発しないかという不安
・この状態を維持できるかという疑問
・次に何をすれば良いのか分からないという戸惑い
です。
このタイミングで医院側が「次に通う理由」や「通い続ける意味」を提示できていなければ、患者が離れていくのは自然な流れと言えるでしょう。
来院を“習慣”にできている医院とできていない医院
来院が安定している医院では、患者は「必要だから行く」のではなく、
・行くのが当たり前
・自分の生活の一部
・行かない方が気持ち悪い
という習慣化が起きています。
一方、来院が途切れやすい医院では、
・症状が出たら行く
・困った時だけ行く
・用がなければ行かない
というトライアル型の関係に留まっています。
この違いは、診療技術の差ではなく、治療後の関係性設計の差です。
トライアル型から「治療・管理型」へ移行できるか
これからの歯科医院経営では、治療を提供する医院ではなく治療と管理を通じて、患者の生活を支える医院へ移行できるかどうかが、大きな分岐点になります。
治療・管理型へ移行できない医院では、
・来院は不定期
・患者数は徐々に減少
・新患に依存せざるを得ない
・経営が不安定になる
という流れに入りやすくなります。
来院動機は「作るもの」であって「待つもの」ではない
患者が来なくなったのは、患者の意識が変わったからだけではありません。
医院側が、通い続ける理由を設計できていない
この構造的な問題が、静かに進行しているのです。
ぜひ、先生の医院でも考えてみてください。
・治療が終わった後、患者に何を提供しているか
・通い続ける意味は、患者に伝わっているか
・来院は「必要性」なのか「習慣」なのか
答えは一つではありません。
しかし、この問いから目を逸らしたままでは、患者数は確実に減っていくのです。
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