おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
昨日の経営ブログでは「人材不足」「収益性、収益構造」「経営コスト」の三つの経営リスクに院長は対応していく必要があると書きました。
後半戦の今日は「地域の経営環境」「国の医療政策」における経営リスクについて書きたいと思います。
その４ 地域の経営環境
歯科医院経営を考える場合には、
・地域の人口動態と年齢構成、世帯構成
・地域の就業率
・世代ごとの価値観の変化
・上記による歯科医療需要の変化
・地域の生活インフラの変化、生活動線の変化
・地域住民が置かれている経済状況と変化
・地域経済の変化
・地域の物価
・交通インフラの変化
・行政の政策
・競合歯科医院の状況、戦略
等を考慮して経営戦略と戦術を立て実行する必要があります。
大切なのは毎年経営環境が少しづつ変化していることに気づいて対応しているか。
人間は大きな変化には危機感を持ちますが小さな変化が続いても重視しない傾向があるので注意が必要。
１０年経ってみると地域の高齢化が進み、若い世代の都市部への流出が続き、来院する患者の平均年齢が上がっていたとなり易いのです。
地域の住民も上記の経営環境の変化の影響を受けます。
高齢者も女性も働かなければ生活できない人が増えており、地域によっては昼間に来院できる患者が減っている。
医院によっては昼間の患者は高齢者が多く、若い世代は１８時過ぎにバタバタと来院するなんてこともあるのです。
この場合の経営リスクとしては来院患者の平均年齢が高いこと。
患者の平均年齢が高いと５年後１０年後には患者が減ることになりますので、その時に慌ててももう遅いのです。
上記の経営環境の変化は複合的に影響し合いジワジワと歯科医院経営にマイナスの影響を及ぼす様になります。
そしてこれは地方都市の問題だけではありません。
例えば経営コストの上昇は都市部の方が影響が大きいですので全国同一の診療報酬で採算が取れる場所も減っている。
ジワジワと進むので対策が後手になり易いのが経営環境の変化なのです。
その５ 国の政治、医療政策
日本の医療は「地域包括ケアシステム」をベースに構築していく。
そう決まったのは１０年以上前ですが、未だに地域包括ケアシステムについて理解できていない院長が多い気がしています。
国の医療政策は「骨太の方針」「医療計画→地域医療構想」「医療費適正化計画」などに書かれておりどう変えていくのかが決まっています。
診療報酬改定もこれらの方針に基づいて「戦術」として打ち出されており、２年後の診療報酬改定もこの方針からどうなるのかも大筋は決まっているのです。
だから保険診療においては国の医療政策の流れと地域の経営環境の変化を読み、どの方向に医院経営を進めるのか？を決める必要がある。
でなければ保険診療で得られる収益は減少し、人件費など経営コストの増加に対応出来なくなるのです。
地域の経営環境の変化と医療政策を分析し、医院の経営資源からどう対策するのが正解なのか？
その答えが院長ごとに違うのが厄介だと感じます。
今日、ご紹介した経営リスクはジワジワと影響してくるので軽視されやすい。
だから問題が発生したら対策する対症療法になり、気がついたら追い込まれていたとなり易いのです。
先生の医院を取り巻く経営環境は過去１０年でどう変化し、これからの１０年でどう変化していくのでしょうか？
そこに国の医療政策の流れを加え、どの様な戦略と戦術で５年後１０年後も活躍する為のビジョンを描かれるのでしょうか？
経営はバックキャスティングが基本。
明確に描けた未来しか実現しないのです。
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Posted at 05:00
