数値で成果を検証できなければ、取り組みは続かない
施設基準を取得し、仕組みをつくり、チームを鍛える。こうした取り組みが本当に成果につながっているのかは、数値で検証しなければ分かりません。数値で振り返り、うまくいかなければ修正する。この検証の力が、稼ぐ力の土台のもう一つの柱です。
ただし、ここで院長に気づいていただきたいことがあります。経営で見るべき数値は、売上だけではないということです。
歯科医療の「質」も、数字に表れます
歯科医療の質は、数値で測ることができます。たとえば、治療中断数、セカンドコンサルの実施率、SPT(歯周病安定期治療)への移行率、1年後の継続来院率、紹介患者数・・・。これらは、患者が医院の治療と管理をどう受け止めているかを映す数字です。そして、上記の施設基準の取得と算定までの流れを整えるのも歯科医療の質を表すのです。
さらに、タービンやコントラの修理金額、在庫のロス率といった数字も、医院の「質」を表しています。チームメンバーの日々の器具の扱い方や物品管理の丁寧さは、こうした数字に表れてきます。
売上の数字だけを見ていると、これらの変化は見えません。しかし質の数値が崩れ始めているときは、その先で売上にも影響が出てきます。
「質」を測る数値は、経営の数値にもつながっています
質を測る数値は、医療の話であると同時に、経営の話でもあります。SPT移行率や1年後継続来院率が上がれば、長期管理型の収益が安定し患者の健康が守られます。治療中断が減ることは治療説明に患者が納得していることを示し、新患を集め続けなくても医院が成り立つ割合が増えます。紹介患者数が増えることは患者から医院への信頼を表し、集患にかけるコストが下がります。
修理金額や在庫ロス率は、そのまま経費の数字です。器具や材料を丁寧に扱うチームは、質の高い治療を提供しながら、無駄なコストも減らしています。つまり「質」と「経営」は、同じ数値の表と裏の関係にあります。
数値を変えるのは、チームのレベルです
ここで重要なのは、数値を眺めるだけでは何も変わらないということです。数値が改善するのは、チームメンバーのレベルが上がり、組織としてのレベルが上がったときです。
SPT移行率が低いのは、患者への説明が十分に伝わっていないからかもしれません。在庫ロス率が高いのは、物品管理の仕組みやルールが共有されていないからかもしれません。数値の背後には、必ずチームの状態があります。例えば、チームリーダーが「ユニット、タービン、コントラ、治療材料は売上を上げる為の道具」だと考えているとそれらを雑に扱い修理費や消耗品費がかさみます。そして治療品質も低くなる。そうではなく治療設備を大切に使うことは、患者を健康に導き、患者に不快な思いをさせない為に大切だと考えれば、ユニット周りは清潔に保たれ、タービンなどの修理費も減るのです。前者の勤務ドクターは治療中断率も高い可能性がある。つまり数値は、チームのどこに課題があるのかを教えてくれるセンサーなのです。
数値を使い、数値の意味を語れる院長の姿勢が、チームを変える
数値で評価する目的は、スタッフを責めることではありません。院長が数値を「人を責める道具」にすれば、スタッフは数字を隠すようになります。数値を「医院の状態を知り、患者の健康を守るために医院を一緒に改善していく為の共通の言葉」として使うと、チームは数字に向き合い始めます。だから、①何を達成する為にどんな数値を計測するのか?を決めることと、②何を改善すれば数値が改善するのか?を解明することが大切なのです。数値で測定するべき項目は医院規模によって変わりますが、経営相談で院長から頂いた資料をもとにお話ししても、何をすれば数値が改善するのかをご存じでない場合が多い。だから、①②を明確に出来ていない医院では医院のバケツの穴が増えて拡大していても気づきにくいのです。
先生の医院では、売上以外にどのような数値を見ていますか。そして、その数値を使って、チームと一緒に医院の質を振り返れているでしょうか。次回は、数値を改善する力の源となる「チームビルディング」を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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