施設基準の届出をしただけでは、収益は変わらない
国は、2040年医療提供体制のビジョンに基づき、賃上げ、医療DX、地域包括ケアシステム構築、口腔機能管理、訪問歯科、継続管理、生活習慣病における連携といった分野に、診療報酬の予算を振り向けています。既存の点数が上がらない中で、院長がこれらの分野の施設基準を取得し、実際に算定できる医院になることは、稼ぐ力の土台の一つです。
ところが、施設基準を取得したのに、算定が進まない医院が数多くあります。算定要件も点数も理解している。それでも「活かせる」「算定できる」「治療で成果を出せる」ところまでたどり着けない。その原因は、大きく三つに整理できます。
原因① スタッフと勤務ドクターの知識と技術が足りない
算定要件や点数を理解できていても、患者にどう指導すればよいのかを理解し、指導の練習を重ねていなければ、自信を持って説明することはできません。自信のない説明は、患者に伝わりません。知識を得ることと、患者に伝えられることの間には、練習という大きな距離があります。
原因② 仕組みになっていない
知識を得たとしても、実際に誰が、どの手順で、いつ話すのかが決まっていなければ、実行されません。たとえば、誰が何分で指導するのかによって、アポイントの取り方も変わります。どんなツールを準備すれば効果的なのかも、試行錯誤が必要です。
こうした仕組みが決まらないまま「やってみよう」と始めても、担当者の気分と忙しさ次第で、実施されたりされなかったりします。
原因③ 日常のオペレーションに落とし込めていない
現在のオペレーションに余裕のある医院は、ほとんどありません。そこに新しいコンテンツを組み込もうとすれば、どこかに無理が出ます。だからこそ、新たに組み込むコンテンツをどう日常に落とし込むのかという話し合いと、PDCAが欠かせません。
やってみて、うまくいかない点を見つけ、手順を直し、再びやってみる。この繰り返しを、チームで行える医院だけが、新しい仕組みを定着させることができます。
仕組みが難しいほど、チームの成長度が問われる
三つの原因に共通しているのは、チームメンバーの力量です。仕組みの難易度が高いほど、チームメンバーの成長度が結果を左右します。組織化によってチームメンバーを鍛えてきていない医院では、施設基準を取得しても、①~③が機能せずに算定や成果にまで至らないのです。
これは、医院の規模が小さくても大きくても同じです。チームメンバーを徹底的に鍛える覚悟が院長になければ、治療の品質も、稼ぐ力も、向上させることはできません。
鍛えたチームは、次のコンテンツにも応用が利く
この覚悟には、見返りもあります。鍛え上げられたチームは、別のコンテンツを落とし込むときにも応用が利くからです。高くジャンプするには、その高さに応じたトレーニングが欠かせません。制度が変わるたびに、新しい点数や基準に対応していく力は、日々のトレーニングの積み重ねから生まれます。
先生の医院が取得した施設基準は、いま、どこまで「算定できている」でしょうか。止まっているとすれば、知識、仕組み、オペレーションのどこで止まっているのか。次回は、規模が大きくなるほど必要になる、守りと続ける企業力を論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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