おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
令和6年歯科診療報酬改定は難解だといろんな医院で聞きます。
ベースアップ評価料だけでも判断に迷われる方が多いのですが、国が強化したい分野に重点的に点数が配分される傾向は今後も続くと感じるのです。
では、これからの10年で国はどの様に診療報酬体系を変えていくのでしょうか?
少し考えてみます。
まず、今回の診療報酬改定では、
・かかりつけ歯科医機能に関わる評価
・院内感染防止
・歯科疾患の重症化予防
・電話や情報通信機器を用いた歯科診療
・歯科固有の技術等
に分けて論議が進められました。
また、「歯科医療提供体制等に関する検討会・中間とりまとめ」では、
・かかりつけ歯科医の役割
・歯科医療機関の機能分化と連携
・病院歯科の役割
・地域包括ケアと医科歯科連携、多職種連携
・障害児、障害者への歯科医療提供体制
・歯科専門職種の人材確保、育成等
に分けて論議が進められました。
つまり、この政策を推進する為に必要な診療報酬体系に変わっていくのです。
今日は「かかりつけ歯科医機能に関わる評価」について見ていきます。
国がかかりつけ歯科医療機関に求める役割に合わせて診療報酬体系を変え重点分野に配点する傾向が最近の診療報酬改定では強まっている。
そして、医療機関がどの様に点数を算定しているのかのデータも集められており、それに基づいて次回改定で対策がおこなわれるのです。
前回の改定でSPTⅡが無くなったのも、今回の改定でエナメル質初期う蝕管理加算が包括点数では無くなったのも、データを分析して診療の実態とかけ離れていると判断されたので、「実態に応じた算定」となったのです。
「か強診」が「口管強」に代わったのも小規模な歯科医院では訪問歯科に取り組むことが難しいとデータ分析から判断したからです。
これからの10年間で医療介護福祉などのデータのクラウドへの集積が進み、そのデータをAIで分析して医療政策や診療報酬改定が進められる様になっていきます。
これからの10年で歯科の院長が考えるべきこと、それは、
・地域の歯科医療需要の変化
・地域経済
・人口動態
・人材採用環境
・医院の経営資源
をもとにどこにポジショニングすれば10年後も活躍が出来ているのかを考えることです。
国がイメージしている「かかりつけ医機能」以外にも色んな形が考えられるのです。
例えば、攻めの方針で地域に出ていきたくても人材を採用する目途が立たなければ出ていけない。
環境分析から有効な戦略が導き出せても経営資源がなければその戦略は取れないのです。
だから医院の経営資源を何に集中させることが活路を開くことになるのかを考える必要があるのです。
多くの分野に経営資源を分散して投下できる歯科医院はほとんどありません。
国が歯科医療機関に求めることが増えていても、医院経営の視点では何に取組み何に取り組まないのかを明確にして経営資源を分散させないことが必要です。
まずは成果に繋がる分野に集中投下するのです。
この辺りは経営環境、医院規模やポジショニングによって変わってきます。
「規模が大きい需要」を取りに行くのか?「ニッチな需要」を取りに行くのか?
規模を拡大していくと決めたならその規模に相応しい
・医院ブランド
・戦略戦術
・経営管理体制
・人材確保の仕組み
・組織形態
・教育体制
・治療コンテンツ
・キャッシュポイント、収益構造
・コミュニケーションの仕組み
などを築けないと確実に増えるコストをカバー出来ませんし、
ニッチな分野でエッジを立てるにしても、「他の歯科医院では駄目で先生の医院でないといけない理由」を患者の頭の中に築けないと患者は集まらないのです。
さて、先生の医院の経営戦略は明確ですか?
国の政策は間違いなく進んでいきますのでゆでガエルにならない様にしてくださいね。
Posted at 05:00