おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今回の診療報酬改定の答申を読んで衝撃的だったのが「賃上げに向けた評価の新設」です。
国が決めた職種の従業員に対して決められた内容の賃上げをおこなった場合に、「初診」「再診」「訪問」時に「(歯科)外来・在宅ベースアップ評価料」を算定できるのですが、算定要件や施設基準が細かく決められており計算式が複雑なのでもう少し全容が見えてから具体的な対策を考える必要があると思いました。
「医療DX推進体制整備加算」「在宅医療DX推進体制整備加算」はマイナンバーカードに様々な医療介護福祉情報などを集積していくので、PHRやEHRの情報を診療現場で活用できる体制を作りなさいというもの。
「情報機器を用いた歯科診療に係る評価の新設」や「歯科遠隔連携診療料の新設」とあわせていよいよ歯科医療の現場にも「オンライン診療・連携・共同診断」「オンライン口腔機能管理」などの幕が開くのだと感じます。
そして「連携」「管理」「地域包括ケアシステム」の外堀がかなり埋められてきていると感じます。
その一つが「か強診(アメ)」から「小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準(ムチ)」への移行ですが、国が求める役割にちゃんと取り組まなければ「管理料」や「加算」などが算定できなくなってきていますので、今回の改定で更に厳しくなったと感じるのです。
学校歯科健診で不正咬合の疑いがあると判断された児童への「歯科矯正相談料」が新設された事で、上記の新施設基準と併せて国が子どもの口腔機能発達不全に強い危機感を持っていることが分かる。
国は「どうすれば歯科医療機関は国が進める医療政策に従って動いてくれるのか?」を診療報酬を使って模索しているのです。
「歯周病ハイリスク患者加算」の様に、医科の「生活習慣病管理料」の算定要件に「糖尿病の患者に歯科医院の受診を推奨する」という文言が入っているものもありますので連携のチャンスでもあるのです。
「歯科口腔リハビリテーション料3」や歯科衛生士による「口腔機能指導加算」をどう扱うのかは、「経営資源をどこに重点配分するのか?」という視点で見れば悩ましいところです。
今回は「国が求めるハードルを乗り越えられない歯科医院には保険点数は渡さない」が明確になった診療報酬改定だと言える。
68,000件の全歯科医療機関がスタートラインに立たされ、レースの途中に設定されたハードルを乗り越えてゴールにたどり着いた歯科医療機関が「かかりつけ歯科医」の称号を手に入れることができるのだと感じます。
一方で、現実を見れば「どれだけの歯科医療機関が国が設定したハードルを乗り越えられるのか?」という点で疑問があります。
国が歯科医療機関に求める役割についてまったく理解しておらず、そもそもハードルを乗り越えようとしていない小規模な歯科医療機関も多いからです。
しかし、一部の歯科医療機関がハードルを乗り越えただけでは「かかりつけ歯科医」は機能しない。
だから最終的に国は「強硬手段」を使ってくるだろうと思うのです。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:37