おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今日は歯科医院の空間づくりについて考えてみたいと思います。
歯科医院を見学すると「診療の効率を重視した設計(効率タイプ)」と「患者が受ける印象を重視した設計(患者優先タイプ)」があることが分かります。
そして開業年数が長い歯科医院ほど「効率」を重視しており、最近、開業した歯科医院ほど患者優先のお洒落な空間になってきているのです。
これは歯科治療の診療スタイルとも関係しています。
昔はう蝕治療中心であり保険で効率よく治療することが求められた。
患者のモチベートも「痛みを取る」「むし歯を治療する」であった為に「清潔」で「優しい接客」の医院であれば空間の良し悪しの重要度は低かったのです。
しかし、歯周基本治療を終えてSPTで治療管理する患者は「痛み」がモチベートではない。
最近ではP重防で管理する患者も増えており歯科医院に求めることが変わってきているのです。
例えば、歯周基本治療後に安定期治療やP重防で医院に通う患者が治療スペースで走り回るドクターやスタッフ、そして治療の器具を見たらどう感じるでしょうか?
きっと歯が痛かった時の自分を思い出して思わず口元を触ってしまうかもしれません。
最近増えてきた「検診をお願いします」という患者は「健康維持」にベクトルが向かっているために心地よいと感じる空間づくりや医療接客の方法が違うのです。
ちなみに私は歯周病の患者に使う言葉から「予防」「メンテ」「お掃除」「検診」という言葉を排除するべきだと考えており、患者が「自分が歯周病という病気の治療に通っている」ことを自覚させるべきだと考えています。
いまの日本ではまだまだ「がっつり治療レベル」の歯周病患者が多い。
だからう蝕治療は治療効率を重視した空間づくりでも良いと考えています。
しかし、ドクターやスタッフが走り回り、患者が「痛み」を訴える空間を敬遠する患者が増えてきていることを意識するべきだと思うのです。
医院ごとに使えるスペースが違い、空間を分けることが出来るとは限らない。
しかし、工夫すれば「患者のニーズに合わせた心地よい空間づくり(オペレーションを含む)」は可能であり、そこを意識するべき時代に入ってきているのです。
私はクライアントの院長に「自費の患者と歯科衛生士枠の患者は時間がゆっくり流れるようにしたいですね(時間が長いではない)」とお話します。
「慌ただしさ」を患者が感じる医院には「急患」が集まり、治療や定期管理の途中で離脱する患者が多い。
医院メンバーが大切にしたいのが健康観が高い患者層であれば空間づくりから変えないといけないのです。
保険の高速回転型に限界が見えてきた時代に院長はどういう経営方針を選ぶのか?
「うちの地域ではまだまだう蝕の患者が多いので・・・」と言われる院長がおられますが、もしかしたら医院の作り方によって口腔内の状態が悪い患者を集めているのかもしれません。
さて、先生はどんな価値観の患者やスタッフと一緒に未来を目指されますか?
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00