おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
12日に出された「令和6年診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」を読んでいて感じるのは、
「国は地域包括ケアシステムの完成に向けて本格的に加速した」ということです。
そしてその中で歯科医療は重要な役割を担っているということが伝わってくるのです。
歯科医療の充実によって病気の重症化を防ぐことに繋がり、患者の健康が保たれ医療費も下げる効果があるという調査結果が出された頃から国の歯科医療の扱い方が変わってきました。
言い方は悪いですが、今までは医科の改定論議の後に論議されていた歯科医療が、今では医科の改定論議の中にも重要な要素として登場しますし歯科医療に求められる役割もどんどん高レベルで広範囲なものになってきているのです。
だからあとは歯科医療を担う医療機関や関係者がどれだけ国が求める役割に応えていけるのか、だと思うのです。
歯科医療が従来の「う蝕治療型」ではなくなってきている事は平成24年には国の審議会で指摘されています。
それは歯科医療需要が変化してきているということであり、経営的にもマーケットが変化し始めていることを示しているのです。
ただ、変化してきている歯科医療需要に対応していけば経営的にも安定するのかといえばそんなに単純な問題ではない。
新たな歯科医療需要は導入期であり診療報酬的にも十分ではない為に、医院ごとに「参入できるかの判断」と「参入のタイミング」を考える必要があるからです。
また、歯科医療の機能分化もしっかりと進められていると感じます。
「か強診」の役割と評価の見直しや「病院歯科」の強化の方向性も地域包括ケアシステムにおいて開業保険医が担うべき役割は何であるのかを示しているのです。
国が歯科医療に求める役割は「治療」「定期管理(口腔機能、歯周病等)」「指導、トレーニング」「重症化予防」「訪問」「地域連携」「歯科医科連携」です。
その中でもプライマリケアを担う開業保険医(かかりつけ歯科医)には患者の総合的な診断力が求められ、必要に応じて専門医療機関や二次、三次医療、薬局、介護施設、多職種に繋ぐ役割を担う。
つまり司令塔として地域の医療介護ネットワークとの関係を築いて連携することが求められているのです。
さて、先生は活動範囲が拡がっていく歯科医療のどこにポジショニングされますか。
歯科医療への期待は過去最高になってきており、経営面での課題はあるものの国も歯科医療を重視していますので攻め時でもあります。
次の段階では医療DXが重要なカギになっていくのですが、そこに参入するのにも地域包括ケアにおいて足場を築いておく必要があるのです。
もちろん、人材確保やスキルの蓄積、スタッフの成長、資金面など経営資源が追いついていなければアクセルは踏み込めませんが、参入障壁が高いからこそブルーオーシャンであり先行者利益を取れる。
そして何よりも「地域包括ケア型歯科医院」はこれからの地域医療に必要不可欠な存在なのです。
成功のカギは「連携」です。
地域連携の中に多くの歯科医院は入れておらず従来型の診療スタイルを続ける院長が多いのですが、経営資源を充実させながら地域連携に参加することで地域医療も医院経営も守られる時代が近づいているのです。
医療の中で重要な役割を期待される様になった歯科医療。
しかし、歯科医療機関がその重要な役割を担えなければ国は歯科医療機関に頼らない方法を考えざるを得ない。
50年に一度の変革期である保険医療制度は着実に地域包括ケアシステムに向かっており、「自助と互助の時代」も近づいています。
その中で院長は医院のリーダーとして的確な経営判断が求められていくのです。
Posted at 05:00