おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院に限らず様々な業界にチーム作りのモデルがあり参考にされているチーム作りの理論があります。
しかし、私はチームメンバーの個性や成長度によって作れるチームが違い機能する組織構造が違うと感じています。
「その医院に合わない理論を持ち込んだ為に逆に院内がガタつき退職者が出た」という話を聞くことが結構あり、やはり理論やモデルは参考にしても医院に合わせてチームは作る必要があると思うのです。
例えば、プロ野球チームでもチームカラーは様々です。
ホームランなどの長打は他球団より少ないが機動力が高く失点も少ないチームもあれば、ランナーを溜めて長打で一気に返すチームもある。
つまり野球として最低限必要な能力は鍛えながらもチームメンバーの個性に応じた役割を与えて、個人の力を最大化させながら機能するチームを作っているのです。
歯科医院に定式化した組織理論を持ち込むということは例えばファーボールを選び盗塁で進塁させ単打でコツコツランナーを返すのが合うチームメンバーに、ホームランを打てる四番バッターを中心としたチーム作りを求める様なものなのです。
例えば歯科医院の組織が大きくなってきてもチーフや幹部を中心にした医院作りが合う歯科医院もあればスモール権限によって権限を集中させずに医院を作った方が良い歯科医院もある。
よく、率先的リーダーシップが苦手なスタッフが院長からチーフに指名されて苦悩しているのを見かけますが、リーダーシップの本質を学んだことがなく自身もどちらかといえばサポートが得意なスタッフに率先的リーダーシップを求めること自体に無理があるのです。
チームメンバーを理想の「型」にはめ込もうとするよりも今いるメンバーで作れる最幸のチーム像を考え続ける。チームメンバーと一緒に苦労しながらも作り上げた組織が医院独自の「型(組織文化)」となるのです。
だから他の医院が導入して上手くいっているチーム作りの方法は参考にはなっても、先生の医院でも上手くいくとは限らないのです。
私がスタッフと面談していて感じるのは、「院長はひとり一人のスタッフが持っている特技と特性に気づいていないことが多い」ということです。
チーム作りや人材育成の基本は、そのスタッフが持っている長所の方向に背中を押すことであり、決して院長が作りたい「型」にはめ込むことではない。
スタッフが得意にしている事を強化した方が苦手にしている事の克服よりも成長スピードが早いのですが、院長だけでなく世の中の管理者は「自分が理想とする型に無理やり押し込もうとする」傾向が強いのです。
院内コーチングでも「Want to」を装った「Have to」でチームメンバーを動かそうとしていることが多いと感じます。
管理者が言う「仕事だから〇〇するべき」という主張は正論ではありますが、そのやり方では指示管理型組織になり組織づくりは上手くいかなくなるのです。
ちなみに、コーチングの前段階ではティーチングがあり先ずは正しくレベルの高いやり方を身につけてもらう必要があります。
人は自分の中に所有しているものしか使えませんので、ティーチングによって鍛えながらコーチングを併せなければ低レベルのものしか生み出せないのです。
標準レベル以上でティーチングを終えた項目についてはコーチングしながら権限委譲の段階に入ります。
権限を委任されたスタッフは今度は自分でレベルを上げていけるようになる必要がありますので、質の良い質問をすることで成長意欲を高めるのです。
その段階でレベルの高い歯科医院のオペレーションを見学するなどモデリングできる材料を増やしてあげると、スタッフはその材料をどう使えば成果を出せるのかを考えてPDCAを回し始めるのです。
この段階で院長がやってしまう失敗は口を出してしまうこと。
院長の口出しによってせっかく自責になってきたものが一気に他責に戻ることもある。
だから「課題は誰のものか?」を院長は考え続ける必要があるのです。
院長やチームメンバーの成長度に合わせたチーム作りがあり、組織ステージに合わせて権限委譲も進める必要がある。
その為に院長が最初にやるべきことは「ご自分の医院のスタッフが持つ特性や能力にどんな宝物が眠っているのかを見つけ出す」ことなのです。
Posted at 05:00