おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院は徐々に歯が痛い時にだけ通う場所ではなくなってきています。
しかし、受け入れ側の歯科医療機関では未だに初診から技工物セットが中心のトライアル型の診療をされる医院もある。
確かに地域によってはう蝕の急患も多いですし、う蝕患者がまだ多い地域も存在しますので開業されている地域に合わせた戦略を採用することが大切。
しかし、時代とともに歯科医療は定期管理を経て訪問歯科医療や地域連携、口腔機能管理も含めた長期管理型に移行しつつあります。
その事は診療報酬改定時に新設されたり増点される項目を見て感じるのです。
地域の病院や介護施設、多職種、行政と連携しながら、かかりつけ患者にライフコースに合わせた医療サービスを生涯提供していく。
国が歯科医療機関に求める患者との関係性が変わってきていますので、歯科医療機関もそれに合わせて診療スタイルを変化させていく必要があるのです。
その為に改善が必要な数値は、
・予約キャンセル率
・治療中断率
・歯科衛生士枠離脱率
・歯科衛生士枠患者数/月
・SPT移行率
・1年後継続来院率
・長期管理加算算定率
・初診カウンセリング実施率
・セルフケア用品処方金額(歯科衛生士分)
・歯科衛生士別OHI実施率
・PCR20%以下の患者割合(歯科衛生士枠)
・歯科衛生士枠の紹介患者数
でしょうか。
歯科医療がトライアル型からリピート型に移行し患者と生涯関わっていくというスタイルに変わっていく中で歯科医院経営のあり方も変化する必要があるのです。
例えば、患者が定期管理で通い続けてくれると削らずに「経過観察」にできる初期のう蝕歯が増えます。
一見すると治療単価は下がるのですが、患者が定期管理で通うことでLTVは向上する。だから院長はリピート型歯科医院経営を理解しそのスタイルに慣れていく必要があるのです。
これからの20年で歯科医療の役割は徐々に「重症化予防」「健康管理」に重点が移っていきます。
「地域の健康ステーション」の役割を果たす様になってきている地域の薬局の様に歯科医療機関の役割も時代とともに変化していくのです。
ただし、それらの医療サービスが保険医療の対象になるのかは未知数です。
私は保険医療は段階的に縮小され民間保険や民間事業に開放されていくと考えていますので、歯科医療機関も保険が適用されなくても患者が来院する仕組みをそろそろ構築し始める必要があると思います。
5年後には「医療情報共有システム」や「PHR(パーソナルヘルスレコード)」も機能し始めているでしょうし、2030年頃には標準化されたクラウド型電子カルテも全国の医療機関に入るでしょうから医療DXによって保険医療機関の診療と経営は丸裸にされていく。今回の診療報酬改定で財務省が人海戦術で医療機関の経営状況を調べましたが、それらのことも10年以内にはボタン一つで把握できる様になるのです。
20年後位には国が考える「未病の段階で健康に戻す」が現実味を帯びているかもしれませんね。
経営の戦略では成長期に入る半歩手前で参入することが大切なのですが、やっかいな事にその成長期が訪れる時期が地域によって違います。
これは地域の取組みや文化によって「健康指数」に大きな差がある為であり、歯科医院経営もその地域の状況に合わせた対応が必要になるのです。
これからは本当に医療機関としてのレベルや経営の実力が試される時代だと感じます。
保険医療は大切にしながらも保険医療だけに依存しない覚悟がこれから院長に必要になっていくのです。
Posted at 05:00