おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
人間には「自分の周りで起こることは自分の力によってコントロールできる」と考えるタイプ(チェスの差し手)と「自分の周りで起こることは運命で自分の力では変えられない」と考えるタイプ(チェスの駒)がいることが分かっています。
チェスの差し手を心理学用語でオリジン型、チェスの駒をポーン型と呼びます。
オリジン型のスタッフは自分がやりたいことを発言しますし行動もできる。
しかし、ポーン型のスタッフに「何がやりたいの?」と聞いても出てきません。
そして人に指示することが苦手で指示されて動くことに慣れているのでトップダウンリーダーシップは取れないのです。
院長がやりがちなのが「やりたいと思ったら発言すれば良いし実行すれば良いのに」と面談で言ってしまうこと。
ポーン型のスタッフにオリジン型になることを求めるのです。
思った事をすぐ行動に出来るオリジン型の人にはポーン型のスタッフがなぜ行動できないのかが理解しにくいのです。
「社会人なら〇〇するべき」という価値観が強い人はポーン型のスタッフを「やる気がない」「能力が無い」と評価しがちなのですが、行動特性診断をし個人面談をすると本人も「行動できる人になりたい」と考えている場合が多く、「行動的になりたいがやり方が分からないし自信がない」というのが正解なのです。
ちなみにポーン型のスタッフが院長や幹部に見せているのは「仕事用の顔」です。
私はポーン型のスタッフに「家族や仲の良い友達に対してはこんなに大人しくはないでしょ?」と聞いて笑うのですが、心理的安全性が確保されている空間では彼らも自分を出せるのです。
ここで、スタッフマネジメント的には二つのアプローチがあります。一つ目は「そのままの個性を活かせる役割を与える」こと、そして本人が「変わりたい」と言えば「自信をつけさせる」為のアプローチを演出することなのです。
一つ目のアプローチの理由は「チームには役割があって、行動的なメンバーが多ければ良いという訳ではない」ということです。そのスタッフが比較的得意としている行動にあわせて役割を設定すれば能力を発揮しやすくなるからです。
対応の基本は「全受容」。
出来ている事も出来ていないと院長が感じている事も一旦はすべてを肯定的に受け入れている事が本人に伝われば心の扉を開いてくれますので、そこから一歩を踏み出してみたくなる提案をすることが必要なのです。
二つ目のアプローチには十分な準備が必要です。
本人に自信をつけさせる必要がありますし何が何でも成功体験を積んでもらう必要があります。
そして少し上手くいかないだけで「やっぱり私には無理・・」となり易いですので「教えた通りに実行→教えながら任せる→任せきる」のステップを守ることが必要ですし、メンターが勇気づけしながら精神面でも支える必要があるのです。他にも行動的なチームに加えて集団的効力感に巻き込むのも良いかもしれません。
これは幹部スタッフの成長の為のトレーニングでもあります。
「言葉で言うだけで人を理想通りに動かせる訳ではない」という事と「やる気にさせずに指示だけで動かしていたら楽ではあるけどチームは成長しない」という事を体験させて「動かない相手はどうしたら動くのか?」という視点に変わってもらう必要があるからです。
スタッフマネジメントに幹部が関わると上手くいかずにイライラしたり落ち込んだりします。
そんな時でも幹部に指示をせずに自分の力で乗り越えられる様に見守り、いざという時には愚痴を聴いた上で幹部を勇気づけ心のケアをするのは院長の役割です。
課題の分離から言えば「幹部としての成長は幹部の課題」ですので、院長は「正解」を言いたいのをグッと我慢することが求められるのです。
院長が指示をすれば結果は出しやすい、しかし指示ばかりで動かしているとチームは成長できないのです。
行動的なスタッフだけでなく受け身のスタッフも5年働けば貴重な戦力になってくれます。
受け身のスタッフも貴重なチームメンバー。
院長が不満を感じてイライラしている様では経営者として未熟なのです。
テーマ:スタッフ育成、チームビルディング
Posted at 05:00