おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院の院長の多くはスタッフに成長して欲しいと考えておられると思います。
ただ、院長が何もしなくてもスタッフが自分で勉強したり練習して院長の理想通りのスタッフに成長するかと言えば、それはあり得ないと思うのです。
小規模零細の歯科医院から大きな歯科医院まで私は40年で様々な歯科医院を見てきましたが、人が育つ歯科医院には「育てる仕組み」が存在し定期的に仕組みをブラッシュアップしている。
一方、人が育たない歯科医院にはマニュアルや育成カリキュラムが存在せずに教育も先輩スタッフに「教えてあげて」と指示するだけ。
その「育てる仕組み」の差が経営格差に繋がり経営の二極化に繋がっているのです。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
戦国武将の武田信玄の言葉とされているこの言葉は歯科医院経営においても本質を突いていると感じるのです。
実際には立派なマニュアルやカリキュラムがあっても指導担当の幹部スタッフの成長度が新人スタッフなどの育成に大きな影響を及ぼします。
教えたら出来るようになる人ばかりであれば苦労はないのですが、単一のアプローチだけでは新人スタッフを成長に導けないからです。
従って、育成担当スタッフのスキルや人間性の向上はマニュアル等より重要で、実際に育成担当スタッフに「あの新人は出来が悪い」との烙印を押されて退職に繋がるケースも見受けられる。
その時には、教える側が未熟だという視点は封印されており、「人が育たない定着しない歯科医院」はこうやって出来上がるのだと感じるのです。
院長が望むような優秀なスタッフは滅多に応募してこないし、育成担当スタッフが教えれば全員が出来るようになる訳ではない。
多くの場合にはこの状況を「人材不足の時代だから」「あのスタッフは出来が悪い」と言い訳しますが、アドラーの課題の分離から考えれば「スタッフが集まらず育たない」という課題は経営者である院長が背負うべきものだと思うのです。
「出来ない理由を探す前に出来る方法を探す」
「行動すれば8割は失敗するが諦めずに行動すれば成功に近づける」
「人の成長を諦めない」
組織やチームメンバーの成長度、メンバーの個性が違う以上、どの医院であっても上手くいく方法は存在しませんが、上記の3つを実践し続ければ必ず「人が育つ組織」に近づいていきます。
人間に感情がある限り、成長を続ける組織内に問題が発生しないことはありえませんし、問題を解決し続けながら上のステージを目指すのが正しいのです。
問題が起こらない仲良し医院では成長がありませんし、ぶつかり合いながらも信頼関係を築く努力を怠らないでいたらいつの間にかベクトルが合ってきたというのが実学的な答えなのです。
理想を掲げてチームを引っ張るリーダーが院長であるならば、院長は院内で起こる様々な問題から逃げることは許されません。
そして院内で発生する事のすべての責任は院長にある。
院長がそういう覚悟をした時に初めて院長の日常の姿勢が変わり、スタッフが変わり始めるのだと感じます。
言葉で人を動かそうとするのではなく自分がやり続けている行動に周りが共感してチームが纏まり始める。
リーダーシップの基本である「リーダーシップは自分へのリーダーシップから始める」を理解し、苦しくても実践を続けていると助けてくれるスタッフが出てきて院長としての孤独感が緩和される。
そういう長い旅を続けて気づいたら「揺るがない組織」になっていて10年以上勤務してくれるスタッフが増えてきた。
それが組織づくりの本質なのです。
テーマ:スタッフ育成、チームビルディング
Posted at 05:00