おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
保険診療を担う歯科医療機関にとって12月に決まる診療報酬の改定率で今後の歯科医院経営の未来が決まると感じています。
それは人件費やその他経費の上昇分を考慮した改定率になるのか?ということです。
医療関連団体では物価上昇分などを次期改定に反映させるべきだとジャブを打ち続けていますが、11月に出される財政制度審議会の「予算編成等に関する建議」では全面対決の構図になる様な気がします。
どちらにしても、歯科医院の院長はコストアップ分を賄う収入をどうやって得るのかを考える必要があるのです。
その一つ目は、「固定費を上げずに売上を増やす」です。
例えば、ドクターや歯科衛生士の「生産性」や「治療単価」を高められないかを考えるのです。
先ずは「治療単価」です。
「売上=患者単価×人数」
ですので「治療単価」が適正なのかを見直す必要があります。
もちろん、保険診療では値上げは出来ませんので「本来ならば算定できるのによくわからないから算定していなかった点数」がないのか点検するのです。
「か強診」基準が取れていなければ取得を目指すことなども良いと思います。
自費治療についてはコストが上がった分の値上げが必要です。
診療報酬はコストアップ分を上げてもらえるかどうか不透明ですので、自衛手段として適正な範囲での値上げは必要なのです。
もちろん、値上げ許容額はブランド力に比例しますので経営者として「値決め」をしていただければと思います。
また、歯科医院では同じくらいの経営規模であってもスタッフ数などが大きく違っています。
だから「一人当たり生産性」が違うのです。
勘違いしてはいけないのは「生産性が低い医院は人を減らせ」ということではないことです。
所有する経営医資源(マンパワー)を使って収益性を高める方法を考えるのです。
リンゲルマン効果から考えれば、人の配置の仕方や役割の決め方を変えるだけでも生産性は変わります。
例えば、「人が足りない」とスタッフから言われて人を増やしたのに状況は何も変わらなかったという経験を多くの院長はお持ちだと思います。
これは「5(マンパワー)×4(人数)=20」が「4(マンパワー)×5(人数)=20」に変わるからであり、増えた人数で同じ仕事量を割るからなのです。
必要なのはスタッフひとり一人が「5」のマンパワー分を熟せるように工夫することであり、能力を高めることなのです。
新人スタッフが必死にこなしている仕事を3年目スタッフが余裕でこなすことからも人を増やすだけが解決方法ではないことが分かります。
また、歯科医院に限らずそれぞれの部署には忙しい時間帯と忙しくない時間帯がある。
院長としては忙しくない時間帯の部署のメンバーが忙しい部署の仕事を手伝って欲しいとお考えでしょうが現実には人はそう動かない。
人は「”名前”によって自分のエリア」を決めようとするからです。
だから「個人の仕事と役割の決め方」も重要です。
「星のや」の様にマルチタスクにするのも一つの方法でしょうが、医院ごとに状況は違いますのでスタッフの能力が最大限に発揮できる仕事の割り方や個々の役割を工夫していただければと思います。
コストを下げ生産性を向上させるヒントは院内にたくさん眠っています。
それに手をつけずに放置しておくと動かす時に大きな抵抗にあいますし、少しづつ変化する環境を院長がつくればその環境に人は適応できるのです。
生産性が高い組織を作るのか低い組織を作るのか?
すべては院長の「マネジメント(ドラッカー的な)」次第なのです。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:05