おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
これからの歯科経営にとって必要な長期管理型経営では、新患よりもかかりつけ患者を優先することにより、
・予約キャンセルや治療中断が減る
・新患獲得費が減る
・患者一人一人との距離が近くなる
・クレーム患者が減る
・リピート型経営でLTVが向上する
・治療コストが減り経常利益率が上がる
・健康観が高い患者の紹介や家族紹介が増える
・口腔内の健康を継続的に管理できる
・長期症例が増えライフステージ別管理の質が向上する
などのメリットがあります。
なかでも、患者が自分の口腔内を含む健康への理解が進むことにより治療や健康増進へのモチベーションが上がり離脱しなくなるのです。
例えば、資料取りの上でドクターが患者に診断内容を説明し治療提案をしたとしましょう。
ではその提案に従って「患者にとって必要な治療」を最後まで受ける患者の割合はどれ位あるでしょうか?
もちろん、「患者が定期管理で継続的に来院する場合」と「主訴の治療を終えたら来なくなる場合」とでう蝕歯の治療範囲は変わると思います。
経過観察できるのであれば初期う蝕は削らないドクターもおられるでしょうし、継続来院しないのならばリスクの高い歯は処置される場合もあるでしょう。
また診断によって患者に歯周病があっても主訴以外は触れないドクターもいれば、初診の場合には歯周病検査を含めリスク判断に必要な検査は基本的に受けていただくという医院もあります。
実はこの医院の治療方針によって先生の医院に集まる患者層が変わり、中断患者の数も変わっていくのです。
例えば急患を受入れようとすると治療中断や予約キャンセルの患者は増えます。ポータルサイトのネット予約からの新患が多かったり平日の夜遅くや日祝も診療する医院、予約なしでも診療する医院はマーケティングにおける「手軽軸」の戦略になりますので、急患は増えますがキャンセルや中断、クレームは増えてしまう。
手軽に手に入れられるものは手軽に手放してしまうのです。
一方、保険診療では「病気の疑い」がなければ検査の算定はできませんが、算定できる出来ないに関係なく患者ごとのリスク判定に必要な検査をおこない、結果を患者に丁寧に説明する医院もあります。
そんな医院では患者の健康にとって必要なことを実行することを患者に求めますので、「手軽に予約して手軽にキャンセルできる」ことを求める患者には面倒なのです。
だから面倒なことを求める医院には寄り付かなくなる。
例えば高級料理店は一見さんお断りのお店が一定程度あります。
それは、誰彼なしに来店して欲しいわけでなく、店の良さを理解してルールも守ってくれる既存顧客の紹介だけを受けることにより店の品位や提供サービスの品質を保てるからです。
もちろん、対象顧客を制限しますので料理や提供サービスが魅力的で高めの料金を頂かなければ経営的には成り立ちません。
長期管理型歯科医院の経営も、段階的に「かかりつけ患者」に顧客を制限していく戦略の一つです。
だから患者が離脱しない魅力的な治療コンテンツがなければ成立しませんし、患者からの紹介が増えなければ戦略的には失敗なのです。
ちなみに今日の治療中断対策の提案は「治療中断を生まない対策」ではなく「治療中断をしない患者を集める方法」の話です。
基本的にネット予約による「手軽軸」ではキャンセルや中断をする患者も集まってきます。
しかし、大きな歯科医院の様に「問診⇒カウンセリング⇒資料取り⇒治療説明・・・」の仕組みがしっかりと構築できている医院では一定度は治療を中断せずに患者は最後まで治療を受けるのですが、治療の必要性を患者に感じさせることが出来ない歯科医院ではキャンセルや治療中断を減らすことが出来ないのです。
基本的に小さな歯科医院のマーケティング戦略は「密着軸」で組み立てるべきです。
しかし一人一人の患者を満足させて離れないようにすることが大切なのにポータルサイト広告で「すぐに来なくなる患者」を集めてしまう。
別にポータルサイトを使うことが悪い事ではないのですが使い方が間違っているのです。
「手軽軸」の戦略によって幅広い患者層を集めるのならば「キャンセル・治療中断患者」はオマケでついてきます。
大きな歯科医院や動機づけの仕組みが構築されている医院の様に「患者が最後まで治療を受ける様に説得できる仕組み」が院内に構築されているのならば良いのですが、仕組みが無いのならば戦略を変えるか諦めて野戦病院を続けるかしかないのです。
もちろん民間と違って安く医療サービスの提供を受けられる保険医療では質の高い歯科医療を提供できる歯科医院にもキャンセル・中断患者層は集まってきます。
しかし、そういう医院では動機づけの仕組みによって患者の視点変換がある程度はできますし必要であっても面倒なことを嫌う彼らは定着しない為にキャンセル中断率は低いのです。
マーケティングにおいては先生が実施した戦略通りの結果がでます。
だから意図しない結果になるなら戦略を変えるしかないのです。
限られた治療枠に誰の予約を入れるのか?
差別せずに来院してくれる患者の健康の為に全力を尽くすのは当たり前ですが、「枠が限られる」のに誰彼なしに受け入れていては大切にするべき「かかりつけ患者」さえも離れていくのです。
もっと具体的に話しを聞きたい場合は有料の経営相談にお申込みください。
テーマ:マーケティング、ブランディング
Posted at 05:00