おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
さて、保険医療機関にとって正念場であろう令和6年診療報酬改定まで2年を切りました。
団塊の世代がすべて75歳になり医療費や介護費などの社会保障費が爆発的に増えることが予想されますので、国はそれまでに「持続可能な社会保障制度」に変えると決めたのです。
私は保険医療においては、令和2年と4年に歯科診療報酬改定で示された方向性にこの2年間でどれだけ対応できるのかが歯科医療機関にとって重要なのだと思っています。
医院の収益モデルや医院規模によってはあえて改定内容に対応しないという戦略もあるのですが、50歳より年齢が若い先生方は保険診療に足場をおくのならばお客さん(国)の要望に対応することが必要だと思うのです。
これはどんな医療制度が良いのかと言うことではなく、単純に保険診療による歯科医院経営の成立を考えた場合の見解です、念の為・・・。
守りに入った院長は売上が下がり始めても「まだ大丈夫・・・」だと考えがちですが、”一般的な経営モデルでは売上が10%下がると利益は80%下がる”と言われています。
じゃあ、大幅に減った利益でスタッフの賃金を上げていく事は出来るのか?と考えれば不可能だと思うのです。
令和6年の診療報酬改定に向けて院長が取り組まなければならないのは、将来的に保険診療(主にう蝕治療)の売上が20%減ったとしても揺るがない経営体質の確立です。
特に中途半端な経営規模では経営効率が悪いので、これから進むコスト増大をカバーすることは出来なくなっていくのです。
令和6年の改定では今回の改定で実施された様に、既存の点数を下げたり削ったりして医療供給体制の再構築に必要な医療行為の点数予算に回すと思われます。
既存点数が削られるのは一部なのか、それとも財務省や健保組合が主張する様に大幅に保険診療の対象から外すのかはまだ見えてきません。
ただ、薬価改定による改定財源確保もそろそろ限界が近づいているのも事実なのです。
全体の赤字が2700億円にまでなった健保連では今まで以上に診療報酬の引き下げを要求してくるでしょうし、財務省も医療介護の報酬引き下げに活発に動いています。
まだ政治力で何とかなると思われている方もいるかもしれませんが、令和6年以降の歯科診療報酬改定がマイナス改定であっても耐えられる経営体質を築かねければ歯科医院の減少が加速し地域医療の維持が困難になることも考えられるのです。
地域環境と医院の収益モデル、医院規模、所有する経営資源によってこれからの10年を乗り越える戦略は違います。
そして経営の体質を変えるには時間がかかる。
保険診療における収益性を高める対策と保険外の収益を確保する2つの戦略を院長は同時に進めなければならないからです。
一方で零細規模歯科医院のままでいく院長の戦略はまったく違いますので、勘違いして不必要な設備投資などで経営の体力を奪われない様にしてくださいね。
院長一人一人で戦略は違いますので、ご自分が「攻める必要があるのか」それとも「守る必要があるのか」を連休中にじっくりお考え下さい。
遊びのことばかり考えていては駄目ですよ。令和6年の改定はアッと言う間にやってきますから。
さて、クライアント医院の戦略をブラッシュアップする為に、明日から5月5日までブログはお休みさせていただきます。
いま、日本をめぐる情勢は大きく変化していますので連休中に更に詳しく分析したいと思います。全部は企業秘密で書けませんが、一部はブログでもご紹介したいと思います。
では、充実したゴールデンウィークをお過ごしくださいね。
Posted at 05:00