おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
「ロシアのウクライナ侵攻によってパラジウムなどの価格が高騰し歯科医院経営に大きな打撃を与えていることに対して、政府は今月中にまとめる緊急支援対策に金属価格の高騰に苦しむ歯科医院への支援金を検討している」との報道がありました。
金属価格の高騰で苦しむ歯科医院は多いので支援を検討してもらえることはありがたいのですが、中長期的に考えた場合には保険の金属を使った治療は限界にきていると思います。
コロナによる飲食や観光業もそうですが、耐えていれば昔の様にお客さんが戻ってくるというのは幻想に過ぎない。
国民は「新しい生活様式」に対応し始めているのです。
歯科医院も「金属価格の高騰問題は解決しない」という前提で経営対策を進めるべきです。
国は公示価格を引き上げる、一時的に支援金を出す、の他にも対応策を検討しているようですが、それらも「当てにしない」ことが正しい判断です。
例えば、保険による治療では「変動費」は20%以下に収めることが不可欠です。
しかし、現状では金パラを使った治療に関しては変動費を20%以下に収めることは不可能に近い。
であるならば、変動費を20%以下に近づける努力は続けながらも違う治療コンテンツで収益を確保することによって赤字を減らさなければならないのです。
実際には「金属を使った保険の治療」が売上に占める割合は医院によって違います。
段階的に「う蝕治療型歯科医院」から「長期管理型歯科医院」への移行を進めている歯科医院では金属価格の高騰による経営への影響をカバーしやすいのですが、保険の金属を使った治療のウエイトが大きい「う蝕治療型歯科医院」では金属価格の高騰の影響をカバーできないのです。
「長期管理型歯科医院への移行を進め、金属価格高騰の影響をカバーしやすい収益構造に変えていけるのか」
それが中期的な経営対策として重要です。
長期管理型歯科医院への移行において必要な要素は短時間では構築できませんので、計画を立てながら移行を進めなければならないのです。
キーワードは「管理」と「連携」です。
もちろん、治療コンテンツや治療技術のブラッシュアップやスタッフの長期雇用など、やるべきことは沢山ありますので院長にはその覚悟が必要です。
う蝕治療型歯科医院で何とか耐えるのか?
それともその領域から抜け出してこれからの10年に最適化した医院に変わっていくのか?
ご判断くださいね。
Posted at 05:00