おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科用金属の価格の変動にどう対応していくのかという論議が進められています。
改定案としては
①現在のまま
②変動幅が一律に告示価格の+-α%を超えた場合に改定する(例えば5%)
③変動幅に関わらず、素材価格に応じて年4回改定する
が出されています。
しかし、この論議はベースになっている公示価格を正当化している。私はそう感じています。
公的医療である限りはガイドラインに基づく治療をおこなった場合に医療機関が採算が取れる仕組みにする必要がある。
例えば保険の金属を使った治療では、支払わられる診療報酬から変動費(主に材料費+技工費)を引いた限界利益で固定費(人件費、設備費、光熱費、教育研修費等)を支払い、その結果として残った利益で税金、借入金返済、医院の未来を作る貯蓄、院長家族の生活費が賄われる必要があるのです(個人開業の場合)。
しかし、現在の公示価格では医院経営に必要な限界利益の確保が出来ない。
従ってベースとなる診療報酬における評価が低すぎるのです。
今回の論議で歯科医院が望むのは、価格変動に合わせた随時改定ですが、それだけでは保険のう蝕治療を担う医院の経営問題を解決することはできない(歯科技工料調査の結果をもとに歯冠修復及び欠損補綴関連の点数は今回見直されます)。
日本の企業の99.7%が中小企業であるように、歯科医院も小規模歯科医院が圧倒的に多い。
それらの歯科医院では売上における保険のう蝕治療の比率が高く、大型化などによる収益構造の改善が見込めないのです。
また、大きな歯科医院であっても売上における治療の構成割合によっては収益性が低く、固定費が大きいことがネックとなった倒産も過去には起こっているのです。
う蝕患者はデーターを見ても減少していますが、65歳以上を中心にう蝕患者はまだまだ多い。
また、コロナによって子どもや成人の口腔内の健康も悪化していますので国と歯科医療機関はそれらを食い止める必要があるのです。
ならば、歯周病治療だけでなく保険のう蝕治療の保険点数を充実させるべきだと思うのです。
補綴の点数算定総額も右肩下がりに減っていますので、保険点数を上げたところで財政的な影響は少ないはずです。
だから金属価格の改定の見直しと併せて保険のう蝕治療を充実させれば、地域医療の維持に不可欠な小規模歯科医院の救済に繋がる。
それを阻んでいる要因はわかっています(ここでは書けませんが)。
しかし、どう考えても現段階では保険のう蝕治療で採算が取れる状態を作る方が国や歯科医療の未来にとってもプラスになる。
大きな歯科医療機関を作ったり病院歯科を強化するのも必要ですが、小規模歯科医院にしかできない地域医療における役割もある。
このままでは歯科医療が届かない地域が全国的に、それも加速度的に増えていく。
私はそう思うのですが・・・。
Posted at 05:00