おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
Aさんのむし歯の治療は、結局ギリギリのところで神経を抜く必要はなく覆罩して次回に補綴物を決めることになりました。
ドクター:「次回に”詰め物”を何にするのかのカウンセリングを当院のトリートメントコーディネーターがおこないます」
Aさん:「あと何回位かかりますか?」
ドクター:「そうですね、次回に詰め物を決めていただいたら歯の形を整えて、詰め物を作る為の”型”を取ります」「その次の回には詰め物をセットしますので、チェックを入れてあと3回でしょうか」
Aさん:「わかりました」
最近は中規模以上の歯科医院にはトリートメントコーディネーター(TC)がいて、ドクターがおこなう治療説明の補足説明をおこなう様になりました。
ただ、医院によってTCの実力(治療の知識や説明提案能力)が違いますし、ドクターとTCの役割分担が明確でないケースが見受けられます。
ドクターがTCに依存し過ぎて自分が果たすべき役割を果たせていない場合もある。
しかしTC制度を効果的にするにはドクターの果たすべき役割こそが重要なのです。
中規模以上の歯科医院ではこの仕組みが確立できていないと患者は「自分にとって効果が高い治療法」の説明を十分に受けることができません。
だから、患者に取って効果が高い治療法が自費だったとしても不安から「保険で良いです」と言ってしまうのです。
「保険で良質の治療の実現」を願ってきた私としては残念なのですが、日本の保険医療とエビデンスに基づく最先端の治療との格差は拡大している。
そして、これからはデジタル化された精密治療との差も拡大していくのです。
だから、患者は自分の健康を守る為にその歯科医院で提供できる治療の選択肢についての説明を自費、保険に限らず受ける権利がある。
上記のAさんへの治療説明では、Aさんは、Aさんにとって大切な歯髄を守る為の判断が出来ない。
たぶん、次回のコンサルでAさんは二次う蝕のリスクを説明された上で補綴物の選択の提案をされるからです。
治療を終えたAさんはいったんは安心しますが、たぶんいつか自分の歯髄を失うことになるでしょう。
「補綴物の選択」ではなく「治療方法や維持管理方法」についての提案ができている歯科医院はまだまだ少ないと思います。
患者と点ではなく線で繋がる時代において、患者に点の提案をする補綴コンサルでは患者の未来を守れない。
そう思うのです。
患者の来院シミュレーションは今日で終わりです。
今回、登場した歯科医院に似た医院は多いと思います。
でも、そのレベルのことを続けていては患者と歯科医院の未来は守れない。
歯科医療と歯科医院経営の大変革期には院長の経営力と決断力がが問われるのです。
さて来週からは何について書きましょうかね??
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00