おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
医療広告のネットパトロールで令和2年に修正を求められた歯科医院のサイトは606件、相変わらず断トツに多いですね。
院長は未来の広告規制強化に向けて動いていく必要がありそうです。
さて、「長期管理型歯科医院に移行する為の条件」はいったん終了して、今日からは40年近く歯科医院に関わってきて私が感じていることについて書きたいと思います。
「上手くいく院長」と「上手くいかない院長」の違いなどについても書きますので参考にしていただければ幸いです。
人間には当たり前ですが「感情」があります。
そしてこの「感情」が人生において自分を理想に導いたり困難に導いたりする。
厳密には「情動」と「感情」があり対応策が違うのですが、今回は説明を省きます。
歯科医院の院長に長年接してきて感じるのは、
成功している院長は自分の感情コントロールが上手いというです。
失敗する院長は人間関係において自身の「感情」が原因となり失敗します。
例えば、経営が上手くいっていない場合には視野が狭くなり孤立感が強くなりますが、そんな時に院内にトラブルが起こりやすくなります。
大抵の場合には院長がスタッフの行動や能力に不満を感じだして指示を増やしたりミスを注意する回数が増える。
するとスタッフにも不満が溜まりだして・・・という具合に院内の輪が崩れていくのです。
スタッフが退職するのを恐れて何も言えない院長もいますし、院長よりも親の代からのスタッフの発言力が強くて院長に不満が溜まる場合もある。
そんな時は感情的になったり感情を閉じ込めたりするのですが、どちらの場合も理想の状態には近づきません。
ひとつお聞きしたいのですが、先生が理想とされるのは
①院長の思う通りにテキパキ動き、成長意欲が高いスタッフ集団
②医院理念の達成とメンバーの成長を実現する為に個性を活かす組織づくり
のどちらでしょうか?
いま、両方と答えられた先生、「正解です」
スタッフの能力や意識がまだ足りていない場合にはティーチングが中心になりますので①が大切なのですが、組織が大きくなりスタッフの能力や意識が向上するのに合わせて②の方に移行していきます。
ただ、実態としては①のままで留まっている組織も多いし②から入ってチームのベクトルがバラバラの組織も多い。
私が歯科医院のチームビルディングに関わる時、考えるのは
①院内の人間関係、パワーバランス
②院長の経営者としての到達ステージ
③組織の発展を阻害しているポイントの発見
そして、この組織とチームメンバーはどうやれば動きやすくなるかです。
だから先入観はできるだけ持たない様にします。
院長から問題があると聞いていたスタッフとも「信頼」することから始めますし、問題があると言われたスタッフが一番患者のことを大切に考えていたという経験も多いのです。
大体は院長が考える「理想」から外れるスタッフが問題児として扱われますが、やり方が違うだけであることも多い気がします。
多くの院長は「決めつけ」などの認知の歪みと「感情」でスタッフを判断し、私は先入観を排除して「全面的信頼」でスタッフと接する。
これによってスタッフの見え方やスタッフからの信頼が大きく変わるのです。
先生が組織づくりが上手くいかないと感じているなら、間違いなく先生自身やチームリーダーのチームメンバーへの認識に問題があります。
そしてスタッフひとり一人とのコミュニケーションが足りていない。
スタッフも多くの困難を抱えてそれを乗り越える為に頑張っている。時にはやる気を無くすし問題も起こす。
しかし、スタッフのひとり一人を仲間だと認識できていれば「困難を抱えて立ち止まっているスタッフ」を受容できるはずです。
成長することはスタッフの課題です(課題の分離)。
今は立ち止まっているスタッフも院長や幹部スタッフがすべてを受け入れ歩き出すタイミングで勇気づけてあげることで、将来は医院の中心メンバーとなっていくのです。
「結果」は大切ですが、結果を出せるようになる為には「プロセス」が大切です。
スタッフに求められるのは「成長度に応じた結果」であるべきであり、「院長の理想通りの結果」を求めるからハードルを越えられないスタッフが辞めていく。
少しスキーが滑れる人をジャンプ台に連れて行って「跳べ」と言っても無理なのと同じなのです。
院長や先輩スタッフは101%の負荷をかけているつもりでも、本人にとっては200%の負荷に感じて更に動けなくなる。
そんな事が多くの歯科医院で起こっています。
育成のアプローチを間違えている歯科医院が多い気がするのです。
一度、「自分の理想通りにスタッフを動かしたい」という欲求に打ち勝って、逆にスタッフの理想を聴いて実現に協力してみませんか?
すべての人は自分の人生を豊かにする為に存在しており、先生の人生を助ける為には存在していません。
だから雇用関係やお金だけで動かそうとすると失敗し、組織がスタッフひとり一人の成長や人生を応援できていないと離れていくのです。
べつにサーバント型が良いという訳ではありません。状況に合わせた使い分けが大切なのです。
最初は院長がリーダーとしてチームを引っ張る存在であったとしても、いつの間にかチームメンバーが理想に向かって走り出している。
先生の医院がそんな理想の組織に到達する為にはやることが沢山あるのです。
Posted at 05:00