おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
私が歯科医院経営で大切なことの一つと位置付けているのは、地域の経営環境がどう変化するのかを予測して経営戦略を立てることです。
例えば、いま小さな町で開業されている院長が考えなくてはいけないのが人口の「社会的移動」です。
人口の社会的移動によって地域経済がダメージを受け、地域コミュニティも崩壊していくからです。
社会的移動は様々な要因で起こります。
①行政による地域開発(流入)
②民間による地域開発(流入)
③地方自治体のブランド力の変化(流入または流出)
④地域の有効求人倍率の低下(流出)
⑤企業のDX戦略の影響(流出)
⑥地域の交通手段の廃止、減便(流出)
⑦自治体の手厚い子育て施策(流入)
⑧感染症の局地的拡大(流出)
即ち、
「生活しづらい」
「働く仕事がない」
「そこに住んでいなくても良い」
が主な要因でその地域を脱出してしまうのです。
例えば、コロナが収束しても大学の講義の80%以上がオンラインでおこなわれる様になれば、学生は大学周辺より家賃が安い場所を探して離れてしまう可能性がある。
そうなれば大学周辺のお店はどうなって地域環境や人の流れはどう変わっていくだろうか?と予測して対応することが大事。
院長から私に経営相談のご依頼をいただき、地域の経営環境を調べてみると必ずといって良いほどマイナスの要因が見つかる。
地域の経営環境を調べて「この地域で今まで通りのやり方をしていたら医院の未来は暗いな」と思うことも多いのです。
その原因の一つが国や地域行政が社会的移動(流出)に歯止めをかけられないこと。
でも、小規模な自治体の財政力と集まる人材で解決しろと言われても限界があると思うのです。
自治体同士のの連携も進められていますが地域の未来を切り開く決め手とはならない。
人材が欠乏する地方自治体にデジタルの人材を民間から派遣するという試みもされていますが、このままいけばデジタル時代に乗り遅れ益々社会的流出が加速する地方自治体が出てくると心配しています。
これらの一見歯科医院経営とは関係のないように思えることが、実は歯科医院の未来の経営環境に大きく影響してくるのです。
人口減少地域の歯科医院も人口が集まる地域に医院を移動できれば良いのですがいま開業している地域にも救うべき患者はいますし、医院移転には莫大な投資が必要です。
だから、そう簡単には移転はできません。
だからこそ、院長が経営環境を定期的に分析して早めに経営対策を実行することが不可欠なのです。
将来的に人口の流出が大きくて高齢化も進むのなら、
①残った住民の来院割合を高める方法を考える。
②来院患者の単価を高める方法を考える。
③遠くから患者が医院に通う理由をつくる。
④思いっ切って移転する。
のどれか(全部)を考えなければジリ貧になっていくことは間違いありません。
しかし、そのマイナス要因は地方にだけあるのではありません。全国のどこの地域でも経営環境のマイナス要因はあって、それにどう対応していくだけなのです。
ここまで都市部の院長は他人事のようにブログを読まれたでしょう。
でもそうではない。
地方では人口減少や少子高齢化のマイナス要因がある。
逆に大都市部では保険診療の採算性の低下が顕著になっています。
人口が増えていく都市にも経営環境のリスクはありますので油断しないことが必要です。
例えば、東京の中心部はこれからどんどん経営リスクが高まりますので、経営力が高いドクターは上手くいきますがそうでない院長は開業を避けた方が良いと思います。
すでに開業している場合には未来を予測してそれを乗り越える戦略が必要。
どこの地域にも歯科医院にとっての経営環境リスクは存在します。
それに早めに気づいて適切な時期に対応できるか?
その能力を持つ院長しか未来を切り開けないのです。
Posted at 05:00