歯科医院経営コーチの森脇康博です。
NHKの「プロフェッショナル」で4年ぶりに新津春子さんが取り上げられました。
世界で一番清潔な空港といわれる羽田空港の清掃員として妥協せずに技術を磨いてこられ、500人のメンバーの指導もされていました。いまでは道徳の教科書でも取りあげられています。
中国の大企業などから好条件で誘われたのを断り、一清掃員として空港を利用する人に快適に使って欲しいと思い続ける姿に、多くの学びをいただきました。
初めの頃は、清掃技術を磨くことに興味をもち「掃除を究めよう」と努力を続けていましたが、その時は師匠(鈴木優さん)から誉められたことはなく、ただ、「もっと心を込めなさい」と言われたそうです。
技能競技大会への出場を勧められて出て、絶対に1位だと思っていたのに2位に終わった。
そんな時、師匠から「心に余裕がないと、いい掃除はできませんよ」「余裕がないと相手に優しさがでないでしょ」と言われてハッとしたそうです。
自分が綺麗に出来たと判断するのは自己満足であり、依頼した顧客が「依頼して良かった」と思わなければいけない。
技術だけでなく、その場を使う人を思いやることの大切さを教えてもらったそうです。
それからの新津さんは空港を使う人が快適に使えるように、細かい部分にまで気を使えるようになったそうです。
これって歯科医院経営でも同じだと思いました。
治療技術が高くても、経営が上手くいっていても、「誰の為」が明確でない組織や歯科医療従事者はどこかで躓いている気がします。
掃除が出来ない組織はメンバーの心も育ちにくい。
人としての基礎をつくるのには「掃除」「礼儀」はとても大切なのです。
「誰の為」を考えられる組織って、受け取る価値よりも多くの価値を相手に提供しようとしますよね。
効率ではなく、必要だと感じればどんな忙しくても相手の為に時間を使える。
患者のことを思いやれていれば優しく声をかけようとするし、快適に使ってもらいたいと考えれば自分から掃除もする。
そういう素敵な人たちが働く歯科医院って間違いなく患者が集まってきます。
最初の「種」を撒き、水をやり始めるのは院長です。
「〇〇さん、水をやることが大切だよ」と院長が言わなくても、院長が心を込めて水をあげていると、言わなくても手伝うスタッフが出てくるのです。
これが「リーダーシップ」の正体です。
まずは院長が「誰の為」に頑張るのかを明確にして行動する。
忙しい診療中でも「省くべきではない」ことを姿勢で見せるのです。
すべては、そこから始まります。
Posted at 05:00