歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今回は「攻めるのか守るのか、歯科の院長がするべき経営判断」です。
経営環境が厳しくなるなか、院長には船長として重要な判断があります。
それは「攻めるのか、守るのか」の判断です。
経営環境分析や歯科医院を発展させるビジョン、戦略、戦術が立てられなければ「攻める」「守る」の判断ができませんので、まず、考えてみてください。
<攻める院長の場合>
①保険診療中心
②保険診療+自費コンテンツ
③自由診療
のどの世界でやっていくのかを選択する必要があります。
「保険診療+自費コンテンツ」で攻める場合、
「か強診」の取得は必須です。
自費コンテンツは水ものなので保険診療で安定した収益のベースを確保する為には「か強診」を取得することが欠かせないのです。
か強診を必要ないという院長は「自費治療を獲得し続ける自信」があるのだと思います。
しかし、そんな自信を語っている院長で5年後も笑っていられるのは、ほんの一部しかいないと私は考えています。
ちなみに「か強診」は取得するだけではダメです。
その先に予想される医療政策を見据えて「どう活用するのか」を考えなくては意味がないのです。
<守る院長の場合>
守ることを選べる院長は、
①損益分岐点売上高が低い
②リタイア年齢まで15年以内
③保険診療中心で予防患者も多い
④リフォームなどの投資をしても、それ以上に資金回収できる見込みがない
⑤借入金の返済に目処が立っている
⑥リタイア後資金を確保できている
⑦まだしばらく人口が増えている地域に開業
⑧売上が減っても、自分がこだわっている歯科医療の方を大切にしたい
そういう院長は少々売上が減ったとしても、新たな投資を回避した方が良いかもしれません。
いま来院してくれる患者を大切にして、外部マーケティングによる新患の獲得よりは「口コミ・紹介」の獲得に重点をおきます。
診療圏も拡げないで、地域住民の支持を獲得していくのです。
<攻めるか守るか迷っている院長>
これからどうしたら良いのかを迷っている売上1億円以下の歯科医院が、経営環境の変化の影響を一番受けることになります。
なぜなら「中途半端な経営対策や投資は、経営の体力を奪うことにしかならない」からです。
例えば、「これからのトレンド」「経営改善に役立つ」と言われて医療機器を購入する院長です。
設備投資は戦略的におこなうものなので、導入による収益増が見込めなければ「損益分岐点比率」を高める効果しかありません。
そして、すでに始まりつつある中大型歯科医院が診療圏を拡げる戦略に、一番経営的な打撃を受けるのもこの層なのです。
攻めるなら徹底的に攻める、守るなら徹底的に守る。
小規模歯科医院は体力勝負をしてはいけませんし、中大型歯科医院は始まった陣地取りを何が何でも勝ち抜く戦略が必要なのです。
「守るのか」
それとも
「攻めるのか」
院長としてご判断ください。