歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今回は「患者が得たいベネフィット」です。
T・レビット博士の著書「マーケティング発想法」の冒頭に 「ドリルを買う人が欲しいのは” 穴 ”である」という格言があります。
ドリルは板などに穴を開ける為の道具(手段)であり、顧客が本当に欲しいのは「穴」なのです。この「穴」のことをベネフィットと言います。
ホームセンターの店員でも、家電店の店員でも、優秀な人は顧客がその商品によってどんなベネフィットを得たいのかを聴きお勧めする商品を選びますが、優秀でない人は「お店の推奨品」にどんな機能がついていて、競合の商品と何が違うのかを説明します。
歯科医院でも同じことが言えます。
患者はむし歯治療や、矯正治療や、入れ歯治療などを通して得られる「ベネフィット」を手に入れる為に歯科医院を訪れるのです。
先生の医院が患者に選ばれる為には
「患者が支払う対価(距離、時間、費用、休み使用等) < 患者が得ることができる価値」
が成立しなくてはいけません。
大人の”う蝕治療”においては
・自宅や職場からの距離
・交通手段、駐車場
・診療曜日と時間帯
・家族や友人の評価
・ホームページの印象とネットの評価
などから選択肢を絞り、医院を選ぶことになります。
この時、
・お年寄り
・共働き夫婦
・自営業
・専業主婦
・非正規労働者
・子育て層
・サラリーマン
・シフト制労働者
・学生
等、患者の立場によって重視するポイントが変わるのです。
理由は患者によって得たい価値(ベネフィット)が違うからです。
自費治療に関しては、患者は更に広範囲から医院を選ぶことになります。
何故なら、患者が支払う物理的対価と心理的対価が高い為、「高い価値を提供できる歯科医院を選びたい」という心理が働く為です。
だから、患者が他の歯科医院ではなく先生の歯科医院を選ぶ為には、「あなたが得たいベネフィットが提供できる歯科医院ですよ」と患者に伝え、患者が「この先生は信頼できそう」と感じなければなりません。
医院が提供できる価値を伝えるには実際に研修などに参加して治療技術やオペレーションの質を高めていく必要がありますし、それを患者にどう伝えていくのかという工夫も必要です。
一度、患者への医院価値の伝え方をお考えください。