歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今回は「院長の発言」です。
院長は歯科医院と言う船の船長で「志」をスタッフと患者に示し、志に共感して船に乗りたいというスタッフと患者を集める必要がある、と以前ブログに書きました。
航海をするうえで細かい修正点があるのは当然で、時には航路を変えるという決断も必要になりますが「志」は変えてはいけないのです。
しかし、スタッフと話をしていますと「志との一貫性がない、発言がコロコロ変わる」院長がいるのです(私のクライアントの中にはいらっしゃいません ”笑)。
※「志」とは「理念」「ビジョン」を指します。
「志」が明確になっていない院長は、
①自分が興味を持てるか
②患者に喜んでもらえるか
③患者を集められるか
で戦術を考える傾向がありますので一貫性がなくなります。
「よく切れる刃物を提供し料理の楽しさを伝えたい」
と頑張っている高級刃物店があったとします。
働く従業員も料理好きで、顧客に「どう使えば上手く切れるのか」「どうやって手入れをすれば良いのか」を熱心に話し、自分が作った料理の写真を見せて「料理の楽しさ」を伝えて売上も好調でした。
しかし、一番顧客を大切にし人気があった従業員が退職してしまったのです。すると、売上に陰りが出始めます。
売上が下がってくると店主は不安になります。他の従業員に顧客への勧め方を教え、いろいろやってみたのですが売上は回復しませんでした。
すると、こだわりの高級刃物店だったのが割引セールを始め、安い刃物を置き始め、食器の販売を始め、最後には炊飯器なども取り扱うようになるのです。
すると顧客や従業員が「この店も他の安売り店と変わらなくなった」「仕事が忙しくてなんか遣り甲斐をもてない」と騒ぎ出すのです。
私が好きな「客船」で考えてみましょう。
街に住む人たちから見ると、船であることはわかるのですが「行先」も書いていないし、船に乗ればどんな「願望」を実現できるのか、どんな「悩み」を解消してくれるのかも書いていません。
恐る恐る船に乗ってみると、働いている船員も元気がないし、「バタバタ動いているので話しかけたら悪いな・」と客が気を使ってしまいます。
客は船を降りて家に帰ると「今日、試しに港にある客船に乗ってみたんだけど・・・」とガッカリしたことを話したのです。
この様に、無意識的であっても院長の「志」がブレると、スタッフや患者には「目的地が霞んで見えなくなっていく」のです。
院長は経営に歯科医療に責任をもち、様々な問題を解決してかなければならないので孤独です。人間ですので迷いますし不安にもなります。
そんな時に相談できるスタッフはいますか?
「志」についてどれだけスタッフと話せているでしょうか?
「志」をブラさずに一生懸命頑張っていると、徐々に応援してくれるスタッフが現れます。
そして、それを見ていた他のスタッフも少しづつ応援してくれるようになるのです。すると、チームの雰囲気が変わり、それが患者に伝わり、「志」に魅力を感じた人たちの間で話題になっていくのです。
これが本来の「リーダーシップ」です。
軸をブラしては誰も集まってきません。
軸が不明確なら軸を明確にしなければならないのです。
「志」で院長が”何者”で”何をしたいのか”を伝えるのです。だから、応援してくれるスタッフや患者を集める為に欠かせないのです。
理念やビジョンや強みを「ホームページを作る為に必要だから」と考えられた院長も多いでしょう。
でも、それでは駄目なのです。
患者が来院した時に「患者の心」に伝わらなければ意味がないのです。
はじめから理念やビジョンが明確な人は少ないといえます。
でも最初は不明確であった理念やビジョンも考え実践する中で徐々に明確になっていきます。だから、自分の考えをスタッフに話し続けスタッフの考えも聴く必要があります(折衷案にしてはいけません)。
この作業を続けていると応援してくれるスタッフや患者が増えだします。
先ずは「自分が何者で社会の為に何がしたいのか」をお考えください。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00