歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
今日のテーマは”口コミ・紹介を生む歯科医院づくり 「ポジショニング」”です。
前回は、”健康観の高い患者”を集める為には「治療技術」「治療システム」「コミュニケーションシステム」など、歯科医院としての”本質”を高めていくことが不可欠だということを書きました。
それは歯科医院における「ポジショニング」の話でもあります。
”健康観が高い患者”の対極にいるのが「急患」ですが、急患も健康観が高い患者層と同様に「居心地の良い環境」の歯科医院に集まります。
実は「急患層」もいくつかのグループに分けることができます。
主に
①歯科治療に対する恐怖心が大きいグループ
②自覚症状がないので口腔内が健康だと勘違いしていたグループ
③歯の健康に価値を感じず、遊びや用事などを優先するグループ
です。
それぞれのグループによって響くメッセージが違いますが、歯科医院のホームページや院内のコミュニケーションシステムで①と③の患者を集めるメッセージを発信している歯科医院がとても多いのです。
理由を考えてみたのですが、最大の理由は「急患層は簡単に集められる」からだという結論に至りました。
たとえば、”集客できる”ことを院長から求められるホームページ業者さんは
①院内に笑顔が溢れている
②治療技術が高い
③痛くない、怖くない
④抜かない、削らない
⑤24時間ネット予約
⑥口コミサイトとの連携
⑦待ち時間が少ない
⑧急患随時受付
など、少しでも医院の魅力を伝えて、来院障壁を下げて集患できるできるWebページを創ろうと努力します。院長から”集患することを求められている”のだから当然ですね。
私は”急患”に敵意を持っている訳ではありません。来院される患者には全力で治療してあげることが大切だと思っています。ただ、歯科医院経営の未来を考えた場合には”健康観が高い患者層”に来院してもらえる歯科医院を創った方が、①経営の安定性②取組みの充実感③スタッフの定着、の観点からみて優れていると考えているのです。
例えば、昔、寿司店は高級なイメージがありました。それを崩したのが”回転寿司”です。一皿100円の回転寿司が全国に拡がっていくと今度は一皿100円~800円の回転寿司が登場して人気を集めています。また、高級な寿司店はその店にしかない魅力を創っています。
すべてポジショニングを変えているからターゲット層を集められるのです。
歯科医療機関であってもポジショニングは大切です。どういった患者層に支持される歯科医院を創るのかを”患者”や”スタッフ”に伝える必要があるのです。
ポジショニングが明確でないと「口コミ・紹介」は起きにくいと言えます。
例えば売上1億円までの歯科医院の場合、
・ターゲット患者層の決定
・歯科医療ニーズが変化する中でのポジショニング
・分院を出す時のポジショニング
・近くに中大型歯科医院が進出してきた時のポジショニング
を考えていく必要があります。
同じことをやると”経営の体力のある医院が勝つ”からです。
中大型歯科医院も同様です。歯科医療ニーズが変化している環境下で、地域におけるポジショニングをどうするのかを考えていく必要があります。
・同規模の歯科医院が進出してきた場合のポジショニング
・診療圏を拡げていく為のポジショニング
・地域における新たな歯科医医療ニーズに応えるコンテンツ開発
・戦略的特化型歯科医院に切り崩されない為の戦略
などです。
中大型歯科医院は経営規模が大きい分リスクも大きいので、地域の需要予測や国の政策を予測して早めに変化していかないと組織が大きい分影響が大きいのです。特に医院収益への貢献度が高い治療コンテンツの需要予測と対策は重要です。将来の需要が見込めないなら、代わりに収益の柱になるコンテンツを育てていく必要があるからです。
最後に、患者の需要があっても競合に真似されやすいポジション(レッドオーシャン)に行ってはいけません。先生の歯科医院に患者が集まる理由を分析し、強化していくポイントを絞る必要があるのです。
経営資源(時間、人、お金、設備、ノウハウ等)は無限ではありません。限られた経営資源をどこに投下すべきか、経営者としての院長の判断が求められているのです。
経営に関するご相談は
Posted at 07:15