歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
今日は10年後の歯科医院経営について書きます。
10年後は2028年、今よりもっと若年層の"う蝕率"は下がっています。現在、高齢者のう蝕率は上昇していますが、高齢者や後期高齢者の検診の強化により10年後には下がっているでしょう。
行政主導で口腔機能の発達不全やオーラルフレイルへの対策、訪問診療における嚥下指導が一程度進み、病院からの早期退院、地域包括ケアにおける在宅医療・介護から「看取り」への流れが定着しています(入院日数の更なる短期化)。歯科医療では患者が75歳を超えると受診率が下がります。団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年を過ぎるとう蝕治療のニーズは更に減っていきます。
う蝕で来院する患者が減り続けていきますので、経営の活路を求めて訪問歯科に参入しようと考える院長が増えていくでしょう。ただ、訪問歯科を始めたらすぐに希望者が現れるわけではありませんので、ノウハウがある医院とない医院の格差は拡がるでしょう。
都道府県を中心として医療介護のビックデータ分析が進み、住民の健康促進施策が強化されます(民間サービスの併用)。
一方、地域医療費介護費と住民が負担する保険料、そして診療報酬が連動し、地域医療費が上昇すると地域住民が支払う保険料が高くなり、地域医療機関が受取る診療報酬は都道府県の判断で下げられることになります。
現在でも歯科医療への民間企業の参入が進んでいますが、将来的には混合診療の条件が緩和され、医療介護への民間資本の参入が更に加速するでしょう。
地方によっては歯科医院不足が深刻になります。逆に都市部では中大型歯科医院の進出と新規開業が増え、経営力のない歯科医院は益々窮地に追い込まれることになります。
歯科医院でも人材不足はますます深刻になります(受付、歯科助手も)。スタッフの雇用条件を改善できる歯科医院に人財があつまり、経営力のない歯科医院はいま以上に採用に苦労する様になるでしょう。
レセプト審査の強化が進みます。全国で審査基準が統一され審査における地域差が解消しています。レセプト審査の大半はAIがおこない、はねられたレセプトの一部は支払基金が採用した歯科医師がチェックして返戻されます(利益相反の判断により診療側委員の排除)。
今でも実行されていますが、点数を取るテクニックはAIによる分析により簡単にパターンが見破られる様になります。現在は「要注意医院」のチェックが入ると、改善されるまでの一定期間レセプト審査が厳しくなりますが、今後新たなペナルティが課せられる可能性は高いと思います。
国の医療改革工程表通りに進めば、従来通りの”う蝕治療”を中心とした歯科医院、経営力のない歯科医院は売上を伸ばすことは困難でしょう。
歯科医院がおこなうべき対策は?
これからの10年、歯科医院経営で重要なポイントは
「歯が痛くない患者を集める仕組みが創れているか?」
「広告依存度を下げ、口コミ紹介での来院患者を増やせているか?」
「10年以上定期的に通う患者の比率を○%以上に出来ているか?」
「広い地域から患者を集める仕組み(コンテンツ)が創れているか?」
です。
過去一週間のアポイント帳を見てください。
長年通ってくれている患者の割合はどれ位いるでしょうか?
カルテ棚を見てください。
カルテ番号の若い患者はどれ位継続して通ってくれていますか?
長年通ってくれている患者が少ない場合、院長の方針、歯科医院の治療方法や治療システム、接客などに問題がありますので改善が必要です。
大きな歯科医院ほど危機感を持って改革を進め、小規模な歯科医院ほど何もやっていない・・・。
私が知る限りではそれが現実です。
歯科医院の経営改革なくして10年後の繁栄はありえない!
私はそう考えています。
経営に関するご相談は
Posted at 08:39