こんにちは
歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
※森脇の紹介ページ
国が打ち出している「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」、いわゆる「か強診」ですが、先生は今回の診療報酬改定での条件強化をどう受け止められたでしょうか。
私が知る院長先生は「か強診」が出来た時に取っている方が多いのですが、今回の改定を受けても取得を考えておられない方もいらっしゃる様です。
厚生労働省の資料でも出されていますが、各世代ごとの歯科医療ニーズは大きく変化しています。若年層のう蝕が減り、小児の口腔機能の未発達やお年寄りのオーラルフレイルなどが増えています。年々増えていた歯周病は生活習慣病との関連がクローズアップされ、国民的な課題になっています。
でもだからといって、歯周病や口腔機能に問題のある人がどんどん歯科医院に来院しているかと言うとそんな事はありません。
プロによるオーラルケアの必要性を感じている人のうち、実際に受けている人は30%程度だというデータがあります。必要性を感じていても70%の人はプロケアを受けていないのです。
最近はテレビや雑誌でも歯周病や口腔機能について取り上げられる機会が増えましたので、プロケアに通う人が少しは増えるかなと期待していますが・・・。
では、歯科医師から見ると治療やケアの必要性がある人は何故歯科医院に来院しないのでしょうか?
理由は
①予防患者が魅力を感じる歯科医院が少ない
②自覚症状がないから
③過去の歯科医院イメージの悪影響
④患者に来院動機がない
⑤歯科医院が動機づけ出来ていない
⑥患者にとっての優先順位が低い
(患者が欲しいコンテンツがない)
⑦ホームページなどの広告内容がニーズに合わない
などです。
特に患者の来院動機をつくれていない事が問題なのです。
いままでの歯科医院では①う蝕患者を集め②予防に移行してもらい③予防患者からのアップセルとクロスセルを得る、という流れが主流でした。
でもう蝕が減り、患者が歯科医院に通う理由がなくなっている今、いままでのやり方で患者を集めるのには限界があります。
予防患者が集まらない本当の理由
”予防患者は予防患者が多い歯科医院に集まる”
何故ならそこには予防患者にとって快適な空間やサービスが存在するからです。
いろんな歯科医院を診てきて感じるのは予防患者が集まらない医院には予防患者にとって心地の良い空間がありません(設備や内装だけの問題ではありません)。
”空間によって同じものでも売れ行きや価格が違う”
ペットボトル500mlの飲料も①街中の自販機②テーマパークの中③高級ホテル④富士山の頂上⑤量販店で売れる価格が全く違います。
言い方が悪いですが「予防」という商品を売る為には売る為の魅力的な仕組みが必要なのです。
”行きたくないけど痛いから歯医者で治療を受ける”ではなく。
”痛みはないけど先生の医院で予防に通いたい”と患者が感じる必要があるのです。
予防患者の多い歯科医院には患者が忙しくても通い続ける魅力”があるのです。
集めている患者層に問題がある
患者が予防に移行しない最大の理由は、医院が集めている患者層が「予防に価値を感じない層」だからです。健康観の低い患者にいくら予防の大切さを訴えても、患者には予防に通わない正当な理由が存在するのです。
健康観の低い患者が集まる要因は
①医院の治療・ケアコンテンツ内容、空間づくり
②治療説明、カウンセリング
③ホスピタリティ
④治療技術
⑤ホームページ等の広告内容
にあります。
健康観が低い患者が集まるのは
「健康観が低い患者が心地よい環境が医院に存在するから」なのです。
そこを変えないと健康観の高い人には居心地が悪い医院となり、長くは通ってくれません。
”健康観が高くない人が予防に通う”パターンもありますが、誰でもが出来る方法ではありませんので今回は書くのを控えておきます。
「削る、被せるの歯科医院」から「定期来院型歯科医院」に変えていくには時間がかかります。
「長く通う=信頼関係の深さ」だからです。
先ずは、健康観が高い人が居心地の良い医院環境が何かを考え実行し、既存の予防患者の満足度を高めていく必要があります。そしてそれを拡げていくのです。
Posted at 11:36