こんばんは
歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
久しぶりの更新です。
前回までは歯科医院の2025年問題について書いていましたが、今回はそれに関連して歯科医院経営とマネジメントついて書いてみたいと思います。
マネジメントを簡単に言えば、組織の理念・ビジョン達成の為に、所有する「人財」「道具」「資金」「情報」をどう使うかということ。
前回までお話しました「2025年問題」は、単に少子高齢化と人口減が進むということだけではなく、国の政策や疾病構造の変化によって社会的ニーズに変化が起こっていて、それが歯科医院経営に大きな影響を及ぼすという事です。
そういった将来の社会的ニーズの変化を読み、持っている資源を使って
①組織を社会的ニーズに最適化させていく(マーケティング)
②または新たな価値を提案し、診療圏での需要を生み出す(イノベーション)
その為に資源をどう活用するのか?を決めて実行していく、それがマネジメントなのです。
最適化するか?イノベーションをするか?
多くの院長が持たれている歯科医療へのこだわり、とても素晴らしい事だと思います。ただ、多くの日本の伝統文化産業がそうであった様に、歯科医療も社会的ニーズの変化や国の政策に影響を受けてしまうのです。
社会的存在である歯科医院は、社会的ニーズの変化に対応していかないと置いてきぼりになってしまいます。
ドラッカーは顧客を創造する為の機能は「マーケティング」と「イノベーション」だと書いています。
いままで、歯科医院で主におこなわれてきた経営対策は「マーケティング(最適化)」です。イノベーターによって米欧から日本に持ち込まれた治療法、日本で開発された治療法を、患者ニーズが拡大した段階で医院に取り入れる。
プロダクトライフサイクルにおける成長期においてはそれでも良かったのです。でも「う蝕の治療ニーズ」は65歳以下の層で確実に減少していきます。
現在の日本における「う蝕治療」は成熟期にあります。すべての歯科医院が「う蝕治療」で経営が成り立つ時代ではなくなりつつあるのです。
こういう時に必要なのが「イノベーション」。歯科医療の可能性を広げ社会に新たな価値を提案していくのです。
環境変化への適応例としてはフジフィルムが挙げられます。フジフィルムはデジカメの普及により写真撮影用フィルムの販売会社ではなく、独自資源を活かして総合ヘルスケアカンパニーに変貌しました。
ネット社会の進行も急速です。ネット注文の増大により、リアル店舗は変化を余儀なくされています。
歯科を巡る環境も大きく変化しようとしています。「かかりつけ歯科医機能の強化」「他職種連携」「歯科以外の多様な医療知識の習得」「連携推進法人の登場」「支払基金改革」「都道府県の権限強化」「医療介護へのインセンティブ導入」「医療介護データの一元化」「混合介護の弾力化」など・・・。
変化する環境を読んでどう最適化しながら、地域ニーズに応じた新しい価値提案を広げていくのか?そういう視点が不可欠です。
迷わずに積極的に動いていけば、可能性が広がります。
特に地方都市、大都市圏でも周辺部などでは早急な対策が必要です。
※大都市圏でも遅れて同様の問題が起こります。
※地域性が大きいので具体的な対策例を書けないのが残念です。
実際に歯科界でもイノベーター院長は新しい価値を提案し、地域ニーズを掘り起そうと動いています。
マーケティングの重要性
イノベーションが起こせないなら、変化する社会的ニーズに最適化する方法しかありません。
ただ、難しいのは地域特性や地域政策(行政・民間)の違いによる地域差を考慮した対策が必要であるということです。人口の減る時期も高齢化の進行も、子どもの減少も、う蝕率の低下も地域によって違うのです。
だから、開業されている場所によって今後5年間の経営戦略が変わります。
マーケティング分析により現在の地域需要と将来の地域需要の両方を見なければなりません。それによってマネジメント=「人財」「道具」「資金」「情報」の使い方が変わるのです。
院長はビジョンに基いて戦略を立て、チームメンバーに十分説明をし、戦術を考える過程にチームメンバーを巻込むことが不可欠です。
院長が一人で決めてトップダウンで下していては、チームメンバーに取って課題は「他人事」になってしまいます。
チームメンバーを育成するには段階的に上位の意思決定に参加するメンバーを増やし、権限を委譲していくことが必要です。
そういう意味でも歯科医院における「マネジメント」は重要なのです。
Posted at 13:50