一つの数値が、医院の未来を教えてくれる
大阪府における歯科外来・在宅ベースアップ評価料1の注5の施設基準取得率は約49%。口腔管理体制強化加算(口管強)の取得率は約33%にとどまっています。
この数値が示しているのは単純な事実です。前者を取得していない医院は、賃上げの原資となる加算が算定できていない。後者を取得しないで継続管理を行う医院においては、施設基準を取得している医院と比べて収益性が低くなりやすい。採用競争が激化し賃上げが必要な時代なのに、約半数の院長の意識が収益性の向上と人材の確保に向いていないという現実です。
私はその医院の施設基準の取得状況とホームページを見るだけで、その医院の経営の未来を垣間見ることが出来るのです。
「まだ大丈夫」が最も危険な状態
施設基準を取得していない院長の多くが経営破綻寸前にいるわけではありません。それなりに経営できています。しかしそれが、現状維持バイアスを強める理由になっています。
経営環境の変化はジワジワと進みます。採用コストの上昇、賃上げ圧力、物価高騰による経営コストの増加・・・これらの変化は急激には感じません。でも院長が気づいたときには「残るお金が減っていた」「手を打てる選択肢が減っていた」というゆでガエル状態になります。「まだ大丈夫」という感覚が最も危険なのは、このためです。
二極化はすでに始まっている
私が歯科界全体を見て実感していることがあります。法人化して戦略的に大型化しながら組織的に経営に取り組んでいる医院の多くは売上も利益も伸ばし続けています。一方、現状維持を選んだ小規模な医院はじわじわとジリ貧に向かっています。この二極化はすでに数値として現れ始めています。
規模の拡大が難しい医院の場合、患者単価アップや自費診療の拡大などで収益性を高めるしかありません。しかし現実を見れば患者単価や自費売上を増やせる院長は限られる。経営対策に制限が多い医院ほど経営にまだ余裕を感じる段階で早く動き始めることが重要なのですが動かない。これが、ジリ貧になる医院が増えていく要因です(現状維持バイアス)。
「攻めない選択肢はない」という現実
医院を大きくしないから、経営的に攻めなくていいわけではありません。規模を維持するためにも、賃上げを続けるためにも、採用環境を整えるためにも、収益性を高める取り組みは必要です。
攻めないという選択をした医院が5年後に直面するのは、採用できない、賃上げできない、必要な投資ができない、そして院長のリタイア後資金も貯まっていない・・・という現実です。そこに至ってから動こうとしても、手を打てる選択肢はすでに狭まっています。今動くべき院長が今すぐ動く。これが経営の鉄則です。
先生の医院は今、施設基準の取得と活用という最も基本的な経営対策ができていますか。次回は、「攻めない選択」が具体的にどのようなコストを生むかを論じます。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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