キャンセル対策の前に・・・
キャンセルへの対応策として、リマインドの電話やSMS送信を導入する医院が増えています。初診時に「キャンセルポリシー」を渡す医院もありますし「キャンセル料が取れるのでは・・・・」となった時には導入を検討された院長も一定数はおられました(結局は取れない)。確かにこれらの対策には外発的動機づけとして一定の効果はあります。しかし現場を見ていて感じるのは、キャンセル率の高低は「短期的キャンセル対策の質」で決まるのではないということです。
キャンセル率が低い医院と高い医院の間にある最も大きな違いは、「治療説明の品質」と「診療モデルの設計」にあるからです。
キャンセルが少ない医院がやっていること
キャンセル率が低い医院では、患者が自分の口腔の健康に主体的に関わっています。なぜそうなるのか。それは「1年後、自分の口腔内の健康がどうなっていたいか」という患者自身の意志を起点に治療が設計され、主訴以外の口腔内の問題も丁寧に説明してインフォームドコンセントが機能しているからです。
治療の必要性を「自分ごと」として受け取った患者は、予約をキャンセルする理由が生まれにくくなります。一方、主訴だけを処置して終わる診療スタイルの医院、治療方法を一方的に説明をして終わりの医院、急患を積極的に受け入れる医院には、「痛みがなくなったから」「忙しくなったから」「友達との予定を優先したいから」という理由でキャンセル・中断する患者が集まりやすくなります。
診療モデルがキャンセル率を決める
キャンセル率は、診療モデルの違いが数値に現れたものです。短期的な問題解決を中心とするトライアル型の医院には急患が多く、キャンセル率は高くなりやすい。長期的な健康増進を提案する長期管理型の医院には、その提案に共感する健康意識の高い患者が集まり、キャンセル率は低くなります。もちろん、短期的対策も併用しますので「有効なリマインド回数と文章内容」「キャンセルを減らす予約取得術」「次回来院の動機づけ術」などがオペレーションの中に組み込まれていることは言うまでもありません。
過去には平均10%と言われてきたキャンセル率も、長期管理型の医院では5〜7%、さらに取り組みが進めば5%を切るでしょう。この差は、リマインドの有無で生まれているのではありません。
ただし、保険のう蝕治療を中心に回してきた医院が、すぐに継続管理型→長期管理型に転換できるわけではありません。歯科医師と歯科衛生士の治療技術向上、動機づけの仕組み作り、治療コーディネーターの動機づけスキル向上、治療コンテンツの充実、患者コミュニケーションの仕組みの充実、これらを地道に積み上げるステップが欠かせません。
今週から始める、一つの問い直し
キャンセルが多いことに悩んでおられる院長に、一つ問いかけさせてください。先生の医院に来院する患者は、「主訴を解決したら来なくなる患者」と「長期的に口腔の健康を管理したい患者」のどちらが多いですか。
その答えが、先生の医院の診療モデルの現在地を示しています。キャンセル対策でリマインドの仕組みを整えることは短期的には有効です。しかしその前に、患者が「また来たい」と思う理由を医院の中につくることが、キャンセル率を本質的に下げる唯一の方法です。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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