「施設基準を取得した」で終わっていませんか
令和8年6月の診療報酬改定では、歯科医院の経営に直結する変更が複数ありました。歯科疾患管理料の初診・再診一律90点への統一、口腔機能管理料の2段階再編、歯周病継続支援治療(旧SPT・P重防の統合)、口腔機能実地指導料の独立新設、歯援診基準の変更・・・。これらは、正しく算定できれば収益の底上げにつながります。
しかし現場を見ていて感じるのは、「施設基準を取得した」「届出をした」で止まっている医院があるのではないかという懸念です。施設基準の取得は入口にすぎません。実際に算定できる体制をオペレーションに落とし込んで初めて、算定ができ、改定の恩恵が経営数値に現れます。令和6年に登場した「口管強基準」でさえ活かせる体制を築いている医院と築けていない医院がある。施設基準は活かせる体制を築かなければ意味がないのです。
今回の改定への先生の医院の対応を、三つの問いで確認してみてください。
チェック1 自院の経営資源に合った施設基準を選べているか
今回の改定で取得できる施設基準は複数あります。しかし経営資源(ドクターの治療技術、歯科衛生士の人数、勤務ドクターの数、ユニット台数、スタッフの習熟度、仕組み、設備、資金的余裕等)は医院によって異なります。経営資源が限られている中で複数の施設基準を一度に取得しようとすると、どれも中途半端になり、算定数が伸びないまま終わります。
大切なのは「取れるものはすべて取る」ではなく、「自院の経営資源を最大限に活かせる施設基準に集中する」という判断です。たとえば口管強(口腔管理体制強化加算)の届出を済ませている医院では、様々な口管強加算をどれだけ算定出来ているかを確認してください。令和8年改定で言えば、口腔機能実地指導料(46点)については、歯科衛生士が実際に指導を行う時間が予約表に組み込まれて。「歯科衛生実地指導」「口腔機能管理料」「歯リハ3」と連動して漏れなく算定出来ているかが問われます。
チェック2 算定がオペレーションに落とし込まれているか
施設基準を取得しても、算定の流れが診療の中に組み込まれていなければ算定数は増えません。誰が、どの患者に、どのタイミングで患者に指導し算定するかが明確になっているか。レセプトチェックや数値管理で算定漏れを確認する仕組みがあるか。算定に必要な要件が本当に満たされているか?そして施設基準と算定要件を満たした上で算定していることの「アリバイ」を記録として残すことが出来ているかが問われるのです。近年では国が保険医療機関に求めることが増え、オペレーションを見直さなければ指導や管理の時間が確保できないケースも増えてきました。しかし、本線の生産性は落としたくない。だから生産性を落とさずに必要な管理や指導を組み込む工夫が求められるのです。
チェック3 算定の効果が経営数値に反映されているか
施設基準を取得し、算定の仕組みを整えたら、最後に確認すべきことがあります。算定数と収益への影響を数値で把握できているかどうかです。
口腔機能実地指導料の月間算定数は増えていますか?歯科医科連携で「重症化予防連携強化加算」だけでなく「情共1」「医菅」「総医」「情共2」などを絡めて生活習慣病を管理できていますか?今後、どんな施設基準を新たに取得して治療品質を高め、経営面でもプラスにしますか?これらの戦略と戦術を明確にし、その成果を数値で管理して対策していなければ、取得した施設基準が経営にどう貢献しているかが分かりません。数値で見える化することで、次の改善アクションが見えてきます。
改定対応は「届け出」ではなく「算定できる体制づくり」
令和8年改定は、長期管理型歯科への転換を制度として後押しする内容です。しかしその恩恵を受けられるかどうかは、自院の経営資源に合った施設基準を選び、算定をオペレーションに落とし込み、数値で効果を測定できているかどうかで決まります。現状のまま何も変えずに取得できる施設基準はなく、算定できる体制づくりと成果を測定する仕組みが欠かせないのです。
先生の医院の改定対応は、三つのチェックをクリアできていますか。
診療報酬改定をプラスに出来るかは先生次第です。だから施設基準の届出で終わらせず、経営数値に反映させるところまで取り組んでいただきたいのです。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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