おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院をめぐる経営環境の変化を調べていて感じるのはコストプッシュ型の値上げはまだまだ続くということ。
今までは「値上げを要求すれば契約を打ち切られる」と我慢していた事業者も、経営コストのアップに耐え切れずに値上げを始めているのです。
例えば食料品などの値上げも最初は大きく報道されましたが、今では値上げは続いていても「仕方がない」というムードになってきている。
それと同じように歯科界でも値上げをする事業者が増えてくると、それに追随する事業者が増えてくることが予想されるのです。
しかし、保険診療においてはそのコストアップ分を転嫁できない。
そのことは医療が非課税扱いとなり、医療機関が最終消費者として仕入れにかかる消費税を負担していることと併せて大問題だと感じるのです。
国の政策が場当たり的なコストカットであることは現在も続いている「医薬品不足」を見ても明確です。
製薬企業が不正をすることに正義はありませんが、経営が成り立たない様になるほど「薬価基準」を引き下げてきた国の政策は批判されるべきです。
介護でも報酬を下げて倒産する事業者が増えれば介護報酬を少し上げ、報酬アップと企業努力によって経営が改善すればまた介護報酬を下げていくことを繰り返している。
医療福祉の他業界と比べて政治力がある「医療」においては診療報酬引き下げの確率は低いのですが、令和2年度改定の半分に止まった令和4年度改定に続き令和6年の改定がどうなるのかに注目です。
診療報酬改定の結果がどうなるのかに関わらず医療機関が負担する経営コストは増えていきます。
そのことは損益分岐点比率を押し上げ「利益が出にくい体質」に向かうことを意味する。
だから、歯科医院の院長は今から「収益構造の改革」を進めなければならないのです。
今はコストプッシュ中心の物価上昇ですが、一部の業種に拡がってきている経営改善が他業種でも実現でき本格的なインフレが始まれば「医療費」を増やせない保険診療分野を担う保険医療機関の経営は危機的な状況に追いやられることになるのです。
そのことによって倒産する医療機関が増えれば国は少しだけ診療報酬を上げてくる。
そんな近視眼的な国の医療政策によって地方の地域医療から崩壊が始まる・・・
そうなる前に院長はスタッフと患者を守る為にも経営の改善に取り組む必要があるのです。
テーマ:経営環境の変化
Posted at 05:00