おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
平成24年に地域包括ケアシステムの方向性が出されてから国が求める歯科医療や歯科医院の在り方は少しづつ見直されてきました。
そしてとうとう歯科医療も医療供給体制の改革、機能分化が促進されようとしています。
しかし、私はそれらの医療政策にかなりの危機感を感じています。
国が目指す地域包括ケアシステムには理解を示せても全国各地の行政や地域医療の現状を見れば全国的な実現が困難である可能性が高いからです。
入院の分野においては医療病床の「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の機能分化も遅れています。
大都市部に「高度急性期」「急性期」が集中し医師の偏在問題の解決が先送りされる中で、国が出してくる政策を地方行政が達成できるのかに私は疑問があるのです。
地方都市にとって現実的ではない医療供給体制の改革によって影響を受けるのは患者であり、その患者を支える医療機関です。
国が「人」「モノ」「カネ」「情報」において地方行政や医療機関を支えることが出来なければ医療病床の機能分化も進まないし病院から出された患者をケアする地域の受け皿も充実できない。
国の審議会での論議を見ていても、「成功事例」は出されますがどこの地方行政でもその事例をモデリング出来る力があるわけではないという視点が不十分だと感じます。
人口減少が進む地方行政では東京の様な医療供給体制の構築は理想ではあっても現実的ではないし、国は現場を無視したトップダウンの方針ではなく地方ごとの現状を踏まえた医療供給体制の改革を目指すべきだと思うのです。
地域医療はトップダウンではなく地域の人たちの手で地域の現状に合わせた「在り方(地域医療構想)」を考えて構築しなければ上手くいかないことは過去の実践例からみても明らかです。
地域の現状に合わせてこそ地域住民の健康意識が高まり医療費の削減に繋がるのです。
だからマンパワーや医療資源、財政力がない自治体を支援する体制をどうやって作るのかの議論の方が大切だと思います。
このブログを読んで頂いている方の中にはピンとこない人もいるかもしれませんが、今、地方の地域医療がかなりピンチになってきている。
そしてこのままではその影響は都市部に住む人たちにも及ぶ時が必ずやってくるのです。
テーマ:医療政策・未来予測
Posted at 05:00