歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院が現在直面している問題、それは事業収益の悪化です。
変動費や固定費が膨らんで営業利益が圧縮されているのです。
変動費が増える最大の要因は「金属の高騰」。そして固定費が増える要因は「人件費増」「採用コスト」「広告費」、そして開業場所によっては「家賃上昇」です。
保険治療主体の経営では増えていくコストを吸収しづらくなってきている。しかし、保険診療全体で考えれば強化する治療コンテンツを絞ることと生産性を向上させることによってまだまだ収益を確保することが出来ます。
そこで、2020年に院長が考えるべきことの一つ目は収益構造の改革です。
もちろん、医院規模によって取るべき対策が違うのでご自分の医院に合う対策をお考えくださいね。
そして次に大切なのは予防型歯科医院から定期管理型歯科医院への転換です。
さて、先生の医院の患者のうち3年以上定期的に通い続けている患者の割合はどれ位あるでしょうか?
月の新患が50人として、その半分が歯周治療を受けた場合には年間で300人がメンテ枠に移行することになります。1年後メンテ継続率が90%なら270人が次年度のメンテ枠1080枠を埋めることになるのです。
しかし現実にはC処で来院した患者に歯周治療の必要性があったとしても治療を受けさせることが出来ていない歯科医院が多い。また、歯周治療を受けたとしても治療を中断する患者も多い。
予防型で成功している歯科医院はメンテナンス移行率が高く離脱率が低い。
では予防型で成功している歯科医院はこれからの5年を乗り越えられるのでしょうか?
いいえ、予防型で成果をだしている歯科医院には次に「定期管理型」に転換するという高いハードルが待っています。予防型ではこれから進む経営環境の変化を乗り越えられないのです。その経営環境変化の一歩目が今春の診療報酬改定で出されるでしょう。
予防型歯科医院が本当の意味での定期管理型に転換できた場合にはLTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)が高くなりますので経営の安定性が飛躍的に高まるのです。
予防型で成功している歯科医院が定期管理型に転換する方法を考える。それが2020年に院長が考えるべき二つ目の課題です。
これからの20年で補綴や欠損補綴が徐々に減っていきます。歯髄細胞の再生療法が本格化してるだろう未来ではう蝕患者はいても抜髄や抜歯に至る患者は大幅に減るのです。
そして最後の課題、それは「スタッフが退職しない歯科医院づくり」です。
院長は開業してから色々な失敗をします。その経験によって院長として成長するのですが、いつまで経ってもスタッフが退職していく歯科医院は、退職するスタッフではなく院長に問題があるとしか思えないのです。
そして残念ながらスタッフが多く退職する医院では上記2つの課題を達成することが不可能だということです。また、スタッフに媚びてしまう仲良し院長も課題を達成できない。
これからの5年で人材不足は更に深刻になります。医療福祉分野で必要な就業者数は増加していくのに総就業者数は大幅に減っていくのです。そのうちスタッフの平均年齢は40歳を超えていく。「育休」「介護休暇」「病児保育」「時短勤務」「有給取得のし易さ」「社会保険完備」に対応できない歯科医院には人材は集まらなくなっていきます。
でも、これって収益力が高い一定規模以上の歯科医院しか実現できないのです。
だからできるだけ早く一緒に上記の課題を達成していくチームメンバーを固めなければならない。
私はクライアントと一緒に全力で医院の収益力の向上、スタッフの質の向上と長期雇用に取組んでいます。
2020年からは上記3つの課題に取組むことをお勧め致します。
さて、昨年は日曜日を除いて更新してきた経営ブログですが、2020年からは不定期更新とさせていただきます。
理由は
①これから歯科医院経営に起こる問題を知らせようと情報発信を続け、一定の役割を果たすことができたこと。
②これからの5年で歯科医院経営の舵取りが難しくなるので、クライアントのビジョン達成のサポートにいま以上に注力したいこと。
③地域医療の未来を守る為、ニッチの会で若手歯科医師をサポートする取組みに時間を使いたいこと。
です。
これからは医院改革に具体的に取り組む院長に情報やノウハウを届けていきます。
勿論、歯科医療として人として正しいことを歯科医療サービスとして提供したいと考える院長限定です。
また、不定期ながらブログは書いていきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
Posted at 05:00