おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院経営に必要な3つの要素のうち、これから医院の明暗を分けるのが「ヒト」です。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの分析によりますと「自然体では労働力人口や就業者数が毎年50万人規模で減少していく」となっており、労働集約型である医療の現場では大幅な人材不足になることが確定しているのです。
人を採用して歯科医療従事者としてしっかり育成する
それは歯科医院経営の土台を作る為には不可欠です。
マーケティング偏重でスタッフを育てない医院では人が定着しないし生産性も上がらない。
だから、医院の規模に関わらず院内の教育体制を整えなければ経営面でも苦戦していくのです。
次にそのスタッフの成長度に合わせて活躍できるステージを用意することも必要不可欠です。
歯科衛生士なのにドクターのアシストばかりしていたり、管理栄養士が受付やアシストばかりしていると成長のコップがだんだん下を向き始め退職する可能性が高くなる。
だから院長はスタッフひとり一人の理想も踏まえたキャリアプランと成長環境を全力で用意しなければならないのです。
次に大切なのは成長を始めたスタッフを上回るスピードで院長と医院をレベルアップさせていくことです。
例えば成長したいと考え始めた先生の医院の歯科衛生士は外部の歯科衛生士との交流が増えて刺激を受けます。
その時、先生の医院にそれを実現できる環境がないと「うちの医院では無理だ」となってしまうのです。
道はここで二つに分かれて、医院の制限された成長環境でも自分なりに工夫して院長にも協力してもらって勤務を続ける方と、自分が理想とする成長環境がある医院を求めて退職する人がいるのです。
院長から見ればスタッフはいつも通り勤務していると見えていますが、人間関係で悩んだり、自分のキャリアで悩んだり、勤務形態で悩んでいたり、自分の居場所を見つけられなかったり、自分は能力がないと悩んだり、成長の壁にぶつかったり、院長や先輩に叱られて落ち込んだり、他の医院で働く友達を羨ましく思ったり、プライベートで悩んだり、様々な感情を抱えて働いているのです。
もちろん、社会人とすればそれらのマイナス感情を自分でコントロールし、努力によって壁を乗り越え、医院から与えられた仕事を完璧こなすことを目指すべきだという主張もあるでしょう。
私自身もそうしてきましたし、プロ意識が強い方も自分で壁を乗り越えてこられたでしょうからその主張は正論ではあるのですが、そういう考えでは強い組織は作れないのです。
私は組織は「海岸の波打ち際で作る砂山」だと考えています。
上手く作ったと思ってもちょっとしたことで崩れますので、チームメンバー全員で結束して常に強化しなければ崩れにくい組織は作れないのです。
また、院長は砂を積み上げても崩れることに気づくと、外発的、物理的な方法で崩れない様にする傾向が強いと感じます。
それは、
・評価や報償などの外発的動機づけを多用すること
・スタッフとの接触頻度を増やして居心地を良くする
・院長の人間性によって依存させる
ことを無意識的に行おうとするのです。
これらの取組みは最初の段階では成功した様に見えます。
しかし、組織が大きくなって時間が経つにつれてこれらの方法の短所が表面化して砂山は崩れ始めるのです。
すると、砂山の崩れた部分を対症療法的に補修しながら組織を更に大きくすることになる。
しかし、それらの対策はどこかで限界をむかえる。大きな波が砂山を洗い流すのです(スタッフが大量に退職する)。
組織づくりの基本は、
・チームメンバーが同じ方向を向ける様に繰り返し話し合うこと
・チームメンバーひとり一人の意志で結びつくことによって崩れない砂山を作ろうすること
・組織の目的達成の為にチームメンバーひとり一人の能力を高めていくこと
ことです。
新卒など経験の浅いスタッフは逆境力を必要とされない環境で育っている場合が多いので、ちょっとしたことで壁にぶつかり悩みます。
そんな時、新人スタッフであっても自分で立ち上がり壁を乗り越えることが必要なのですが、院長や先輩スタッフに必要なのは「壁にぶつかっていることに気づき」「自分で起き上がり歩き出せるように勇気づける」ことなのです。
成長の課題は本人のものなので、周りが代わりに解決してあげることはできない。
しかし、「あなたなら必ず乗り越えられるから」と勇気づけてあげることは出来るのです。
最近、院長力や環境に無意識的に依存させて、チームメンバーの成長の可能性を結果として奪っている医院が増えている気がします。
その真逆で徹底した管理型組織も一部の院長で流行っているようですが、どちらも先には高い壁が待っているのです。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00