おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
私がもし、小規模歯科医院の院長に経営を委託されたらどんな経営方針を立てるのかを考えてみました。
<医院経営の現状>
院長の年齢 56歳、リタイア希望年齢 65歳、
①場所:大都市以外の都道府県で、県庁所在地がある市の外れ。
②設備:ユニットは4台で、院長室をつぶせばユニット1台拡張可能,
木・日・祝・土午後休診
③昨年の売上は(保険)7000万円(自費)1500万円(経常利益)2100万円
④DHは2人(5年目と2年目)、診療スタッフ1人、受付1人。DHは募集をしても応募なし
⑤院長は誠実な性格で治療技術の研修にも熱心な方ですがコミュニケーションは苦手
⑥競合歯科医院の多くは駅前方面にかたまり(15件程度)、医院は駅から一番遠く幹線道路から少し入った場所なので目立たない。
⑦新患 25人/月。平日の昼間は予約が埋まりにくい時間帯がある。
先ず、院長が65歳になられた時にいくらのリタイア後資金が必要なのかを計算⇒結果、リタイア後資金が不足していることが分かった。
⇒平均余命までのリタイア後期間を15年と設定し、65歳時 に第三者承継によって資金不足を補う計画を立てる。
次に医院の現在の収益モデルや立地、院内の設計などから65歳の時点でどんな歯科医院で、どれ位の経営状態にすれば第三者承継において買い手が見つかるのかを分析。
⇒保険のう蝕治療中心の歯科医院では承継希望者が見つからない為、歯科衛生士枠を最終的に4列まで拡張し生産性を高め、売却しやすい歯科医院に変えていく。
そして分析の結果、以下の経営方針(1年間)を立てた。
ターゲットは40~70歳の女性。
①歯科衛生士の採用の為に各種広告媒体の活用計画を立てる。現在、働いてくれている歯科衛生士にアンケートを取り、一緒にスキルアップ計画と労働環境改善計画を作成する。
②歯科衛生士の採用対策をしながら院長の治療コンサル内容とコンサル資料を見直す。
③難しい症例のインプラントや根管治療、矯正治療は専門医や大学病院を紹介するようにし、自費治療(ダイレクトボンディング)、歯周病治療と口腔機能管理の知識と技術を磨く。
④採用した新卒歯科衛生士2人は1年をかけて基礎的レベルにまで成長させ、現在1.5枠しか回っていないのを2年後には3枠が回るようにする。
⑤ホームページの内容を見直し、リスティング広告を使って新患対策、1年かけて月25人⇒40人にもっていく。
⑥長期管理に関するKPIを設定し、毎月、数値目標の達成を目指す。
※診療体制を整えながら新患を増やす対策を進める。「補綴」ではなく「管理」をベースにした医院づくりを進め、長期管理ができる歯科医院に近づけていく。
◇2年目以降の対策
①医院の働き方改革として1年後に夜の終了時間を18時に変更する。
②口腔機能低下の予防とアンチエイジングを合わせたコンテンツを準備して歯科衛生士枠の患者に提案。
③院長室に5台目のユニットを増設、同時に内装部分をリフォームする
④60歳までに承継候補の勤務ドクターを採用
⑤医療法人化
⑥歯科衛生士の採用と育成カリキュラムの強化
⑦病診連携に取組む
※1年目の「管理」に「連携」の取組みを加えていく。患者のかかりつけ医院との連携を重視し担当医とのコミュニケーションを強化する。訪問歯科に関してはマンパワーの関係から歯援診医療機関への紹介を中心に進める(勤務ドクターを採用したら院長が段階的に訪問を増やす)。
院長の年齢的にも認定医や専門医資格を取得するのは現実的ではないので、長期管理の方向で医院を強化する。また、専門性を打ち出した医院づくりは売却が難しいので目指さない。
医院承継時の売上規模目標は1億5千万円で変動比率が低い歯科医院を目指す。
という感じでしょうか・・・。
いつもブログで書いています様に、医院承継時に医院価値を最大化することが大切です。時代や歯科医療需要の変化に対応できていない”う蝕治療型歯科医院”では第三者承継は難しいでしょう。
やはりゴールまで一気に走り抜ける戦略が必要ですよね。
※開業立地、現在の収益モデル、所有する経営資源によって目指すゴールは違います。
※ユニット2~3台の零細規模歯科医院の効率化戦略とは違いますのでご注意くださいね。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 05:00