歯科医院経営コーチの森脇康博です。
歯科医院の保険診療における収益構造の悪化が進んでいる。
そう実感しています。
理由は6つ
①歯科医院が提供している保険医療に診療報酬が見合っていない
(金属価格の高騰など)
②院長が経営対策で経営資源を集中させていないので、費用対効果が悪い
③院長が医院の財布の中身と今後の収入を見ずにお金を使う
④院長が経営の体力に見合わない労働環境改善を実施する
⑤保険診療に必要な経費が増えている
⑥医院メンバーが時間とコストを意識できていない
歯科医院経営における問題は大きく3つに分かれます。
1つ目は「財務」です。
医療法人で作成するキャッシュフロー計算書を個人医院でも作成するべきですし、特に営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローを注視する必要があります。
医療法人の院長であっても顧問税理士からキャッシュフロー計算書の説明を受けていない場合もある様ですが、経営者としてキャッシュフローを理解しておくことは必須だと思います。
営業キャッシュフローが増加する投資が基本です。
投資先によって営業キャッシュフローが増加する時期は様々ですが、投下した資金をいつまで経っても回収できない投資は、医療の質の向上の為であっても慎重にするべきなのです。
何故なら、それによって患者とスタッフの未来が脅かされるからです。
2つ目は「マーケティング」です。
私はバランススコアカードに「医療の視点」を加えた医療版BSCを提唱しています。
・患者ニーズがある(顧客視点)
・歯科医療として正しい(医療視点)
・収益性が高い(財務視点)
が揃った歯科医療サービスを提供できているのかを院長は検証する必要があるのです。
先日ブログに書いた「認知」「コンバージョン」の対策だけでなく、院内を魅力的につくり込み、患者が長く通う仕組み(LTV対策)をつくることが不可欠です。
必要なのは患者に選ばれることです。
歯科医院経営の目指すところは「口コミ・紹介で患者が集まる医院」であり、ネット広告は医療法の広告規制の強化により先が見えているからです。
そして3つ目は「医院のマネジメント」です。
「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」
経営資源をどう活かせば結果が出せるのか?
それは院長のマネジメント能力(資源配分力)で決まるのです。
医院のお金と院長のお金を区別することは経営者として求められる最低限の資質です。院長の力によって生み出した付加価値に見合う報酬を受け取るべきであり、医院の未来に使う資金は別に管理されるべきです。
医療版BSCから見ると、多くの歯科医院ではどれかの視点に偏っていることが多い(財務視点、医療視点、患者視点)。
それでも、保険医療制度があることで何とか経営を維持することができた。
しかし、歯科医療費が殆ど増えていないことから分かるように、歯科医院の経費は増えているのに収入である診療報酬は増えていないのです。
売上が伸びている時には資金が回転できていたが、売上が伸びなくなってくると設備費や人件費などの固定費負担が大きくのしかかります。
歯科医院経営は仕組みです。
1カ月間、全力で患者の治療をしても、仕組みが悪ければ残るキャッシュは少ないのです。
そういう意味では売上1億円を超えていても仕組みが悪い為に経営的に厳しい医院が増えていると感じています。
歯科医院の院長先生へ
「財務の視点」「顧客の視点」「医療の視点」で先生の歯科医院経営を今一度点検されることをお勧め致します。
Posted at 05:00