歯科医院経営コーチの森脇康博です。
CVP分析ってご存知でしょうか?
損益分岐点を売上が超えると利益が出て(水色部分)、損益分岐点を売上が下回れば赤字になる(赤色部分)というものです。
固定費をまかなう売上がいくらなのかを計算します。
経営者は水色部分の面積をどうやって大きくするのかを考えます。
例えば、
・損益分岐点比率を改善するのに固定費を下げる
・損益分岐点比率を改善するのに固定費を増やさずに売上をあげる
・損益分岐点比率を改善する為に限界利益率を高める
正しいのですが、それよりも具体的な経営対策をどう立てるのかが問題なのです。
歯科医院経営において損益分岐点に振り回されてはいけないと私は考えています。
歯科医院経営も投資と同じくトレードオフの関係にあります。
だから、損益分岐点が低くリスクが低いと、売上も低くなる可能性が高いのです。
歯科医院を大きく出来るかどうかは、
”歯科医院経営の事をちゃんと理解した上で戦略的にリスクをどれだけ取れるか”
で決まるのです。
歯科医院を大きくする院長はリスクを取れる人でもあります。
決して「リスクを取ってください」と言っているのではありません。
守ることも立派な戦略だと思っています。
上記のCVP分析を参考にする場合、注意することがあります。
使い方を間違えると経営を更に悪化させるのです。
間違いの代表例が、売上が落ちてきたから固定費、とくに人件費を減らそうとすることです(正しいケースもあります)。
人件費を減らすことによって一時的には収益性が改善されたとしても、結果的には売上を更に減らしてしまう事も多いのです。
同様のことは変動費についても言えます。
材料費を削ったり技工所を変えて品質を落としてしまうのです。
こういった対策の最大の問題点はスタッフのモチベーションを大きく下げることです。
経営の改善を進める場合、減らすことだけに視点がいくと逆に失敗しやすいのです。
有名なのが「経営的に苦戦するスーパーの話」です。
あるスーパーが経営難から抜け出す為に経費節減を進め、商品を照らす電灯を半分消してしまったのです。
このことによって一か月の電気代は減ったのですが、同時にお客も減っていきました。
何故なら野菜や肉、魚を新鮮で美味しく見せる為の電灯を暗くしたため、お客が離れていったのです。
CVP分析は戦略的に使わないと失敗します。
例えば経営対策では、固定費を使う、変動費を使う対策もあり得るのです。
※だからと言って高額な医療設備を購入しないでくださいね(笑)
また、院長が経営対策をする場合には「選択と集中」が大切です。
周りの院長から聞いた経営対策をパラパラと実行しても経営の体力を消耗するだけで効果は出ません。
これだと思った対策に集中してお金も時間もかけるのです。
その前に、歯科医院経営を改善していくには、どこに力を注げば収益性がどれ位改善するのかを理解してくださいね。
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 17:00