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一枚のシートが歯科医院を変える【第3回】「口腔機能コミュニケーションシート」チームに「魂を吹き込む」プロセスとは  [2026年07月24日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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「伝えたい」と言いながら、伝えるための行動を取らない

子育て中のお母さんに口腔機能管理の大切さを届けたい。地域のお母さんたちに口コミで広めたい。こう言葉にする院長やスタッフは少なくありません。しかし具体的な取り組みの話になった瞬間、スタッフから「それはやりたくない」という反応が出始めます。

たとえばInstagramなどを使った情報発信が典型例です。フォロワーを増やすためのやり方はある程度決まっています。多くの人が関心を持つテーマの選び方、発信の頻度、動画の見せ方。視聴数を伸ばすための基本的な法則があります。しかし多くの歯科医院のSNSのフォロワー数は増えていない。その理由はフォロワーを伸ばすために必要なことをやらないからです。

「目的には共感している。しかしスタッフは”成果に繋がるという行動”はやりたくない」。この矛盾した状態が、SNS活用の取り組みが停滞する最も多い理由です。

ツールに魂が宿るのは、目的レベルの話し合いの後

口腔機能コミュニケーションシートを作ることは難しくありません。子どもの口腔機能発達に関する情報、お母さんへのメッセージ、医院のアプローチの説明。これらを一枚のシートにまとめることは、生成AIの力を借りれば短時間でできます。

しかし、そのシートを手渡されたスタッフが、熱意を持って患者に届けられるかどうかは別の話です。前回の記事で述べたように、説明が流暢でなくても熱意があれば伝わります。しかしその熱意は、どこから来るのでしょうか。

「子どもの口腔機能の発達が大ピンチである」という現実を、チームが本当に自分ごととして受け取っているかどうか。ここに、シートに魂が宿るかどうかの分岐点があります。口腔機能管理はまだキャズムを超えていないテーマです。多くのお母さんが「無知」か「無関心」の段階にいる中で、そのことをチームが共有し、だからこそ私たちが届けなければという使命感を持てているか。この目的レベルの話し合いが先にあって初めて、シートは「伝えるための道具」として機能します。

「やりたくない」なら、別の方法を見つける

Instagramでフォロワーを増やすための発信方法を「やりたくない」なら、口コミを広げる別の方法を自分たちで見つければいいと私は思います。リアルな場でのお母さんや子どもとの関わり、来院中のお母さんへの丁寧な説明、院内での小さなイベント、こうした方法でも、仕組みを工夫し地道に取り組めば口コミは発生しますし成果は出せます。私は後者の方法で月の新患を月平均20人増やしたことがありますが、SNSを上手く使えなくてもチームが目的の達成に対して一つになれれば口コミの拡散は起こるのです。

大切なのは、「やりたくない方法を無理にやる」のではなく、「目的を達成するために自分たちが実行できる別の”成果を出せる方法”を選ぶ」という姿勢です。「Instagramをやりたくない」と言いながら、代わりの有効な方法も実行しないまま取り組みが停滞している医院が多いのも、現場の現実です。

目的に本当に共感し、その目的を実現したいと思っているなら、自分たちから何らかの行動(改善)が生まれるはず。改善行動が生まれないとすれば、目的への共感がまだ表面的なままである可能性があります。シートを作る前に、もう一度チームで「なぜこれに取り組むのか」を話し合う時間が必要かもしれません。

口腔機能コミュニケーションシートを機能させる三つの条件

口腔機能に関するコミュニケーションシートが実際に機能するためには、三つの条件が必要です。

一つ目は、目的の内面化です。「子どもの口腔機能発達の問題を地域のお母さんに届けたい」という目的を、スタッフが自分の言葉で語れる状態になっているか。院長から与えられた目標ではなく、自分が大切にしたいこととして受け取れているかが、スタッフの行動の質を決めます。

二つ目は、届ける相手の解像度です。キャズムを超えていない口腔機能管理を届けるには、相手がすでに関心を持っている領域から入ることが必要です。来院中のお母さんへのアプローチと、まだ来院していないお母さんへのアプローチは設計が異なります。シートの内容も、どちらの相手に向けたものかによって変わります。

三つ目は、使うスタッフのトレーニングです。シートを手渡すだけでは思いは届きません。どのタイミングで、どんな言葉を添えて使うか。患者やお母さんの反応に対してどう応じるか。ロールプレイングなどの練習を通じて、スタッフが「使える」状態になって初めてシートは機能します。

熱意は、目的への共感から生まれる

口腔機能コミュニケーションシートは、生成AIを使えば短時間で高品質なものが作れます。しかし同じシートを使っても、スタッフの熱意の有無によって患者への伝わり方はまったく変わります。

熱意は、目的への共感から生まれます。「子どもの口腔機能発達がピンチだと本当に思っているか」「そのことをお母さんたちに伝えることが、自分にとって意味のあることだと感じているか」。この問いにスタッフが自分の内側からYESと答えられたとき、シートは単なる紙ではなく、思いを届けるための道具になります。

目的の話し合いから始め、届ける相手を明確にし、スタッフが使えるようにトレーニングする。この順序を踏んだシートだけが、医院の外に口コミとして広がっていきます。

まとめ

口腔機能コミュニケーションシートに魂を吹き込むには、シートを作る前に「なぜ届けたいのか」をチームで話し合う目的レベルの対話が必要です。目的には共感するが成果に繋がる行動は取りたくないという状態では、どんなシートも機能しません。やりたくない方法を無理に続けるより、目的を達成できる別の方法を自分たちで見つけることが大切です。ただし、何も行動しなければ成果も出ません。目的の内面化、届ける相手の解像度、スタッフのトレーニング。この三つが揃ったとき、シートはお母さんたちへの口コミとして広がり始めます。

 

先生の医院のシートが、地域のお母さんたちに届く日を心から応援しています。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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