こんにちは
歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
※森脇の紹介ページ
東京商工リサーチの5月9日の記事に2017年の歯科医院の倒産は20件で、前年から約2倍に増加したとありました。
一番多いのが「販売不振」で12件、次に多いのが「既往のしわ寄せ」で4件です。「既往のしわ寄せ」とは徐々に経営が悪化しているのに現実を注視せずに対策を講じないことによる倒産のことです。
記事にある様に、確かに人口減少や衛生士人件費の高騰が影響している面もありますが、本質は違うと私は考えています。
それは、歯科医院がう蝕治療以外の潜在的ニーズを持つ患者を集められていないという事実です。
65歳以下のう蝕患者は減り続けています。地域によっては
①子どもや生産年齢人口が減り人口減が進む
②働き方改革で女性や高齢者の就業者が増える
③歯科医療の提供場所が多様化する
④予防中心と謳う歯科医院が更に増加する
⑤自費補綴や矯正治療を強化する歯科医院が増える
⑥国民負担率が増え、受診抑制が進む。
などの要因で、何もしなければ来院する患者は更に減っていく可能性が高いのです。
しかし、歯科医院に来ないだけでトータルの歯科医療ニーズで考えれば減っていない。私はそう考えています。
歯科医療ニーズがあっても患者は来院しない
予防歯科にシフトしたら患者が増えていく訳ではありません。一般社団法人日本私立歯科大学協会が2016年におこなった”歯科診療および歯科医師に関する第4回意識調査”によると、「歯科医院でのオーラルケアは91.2%が必要だと感じているが、受診率は34.6%にとどまる」という結果が出ているのです。
また、平成30年診療報酬改定の資料でも示された様に、歯科医療ニーズは大きく変化しつつあります。それらの”歯科医療ニーズ”は増えているのですが、患者には自覚症状がなく悪化しないと来院しない”という問題があるのです。
そういった環境で多くの歯科医院がおこなっている経営対策は主に7つです。
①保険の診療圏内から来院する患者を増やす
②広い地域から自費の患者を集める
③訪問歯科を始める
④治療メニューを増やす
⑤治療計画を見直す
⑥歯周治療やメンテナンスに移行する患者を増やす
⑦ある分野に特化してシェアを拡大する
などですが、すべて縮小していくう蝕マーケットの中における対策なのです。
上記の対策を当面実施していくことは勿論必要ですが、今後5~10年のマーケットの縮小と歯科医療ニーズの変化を考えた場合にはそれだけでは足りません。
私は「患者層マーケティング」を得意にしており、
・マーケット分析(人口動態、患者ニーズ・歯科医療ニーズの変化)
・経営環境分析(国の政策、地域環境変化分析)
・経営資源分析(人や物、システムの優位性と活用)
などを基に院長に戦略と戦術をご提案しています。
う蝕治療はプロダクトライフサイクルにおける「成熟期」に入っており、補綴なども減っていることがデーターで明らかになっています。だからそこだけにしがみつけば「既往のしわ寄せ(ゆでガエル倒産)」を招きかねません。
院長は変化する歯科医療ニーズを読み、イノベーティブな発想で医院を変化させる事が必要なのです。現在はイノベーター院長や歯科関連企業によって様々な取組みが実践されている最中であり、まだキャズムを越えた様には見えません。
私はターゲット患者層のニーズに合せた”定期来院コンテンツ”を医院に創ることが何よりも大切だと考えています。
高齢化・人口減が全国平均より進んでいる場所、若者の流入が著しく単身世帯率が高い場所、子育て世代が増えている場所など、開業されている場所によって経営環境も当面の経営対策(コンテンツづくり)も違います。
広告費と人件費負担(採用費を含む)が増えていくことが予想されるこれからの5年、どんな戦略と戦術をお考えでしょうか?
歯科医院経営に関するご相談は
Posted at 09:10