歯科医院経営コンサルタントの森脇康博です。
2018年が始まり8カ月、平成30年歯科診療報酬改定が実施されて5カ月が経過しました。1月に新しい経営対策を始めていれば、そろそろ効果が表れ始めている頃ですね。
さて、半期の事業目標(法人は事業年度開始月から)の達成状況はいかがでしょうか?
・キャンセル率、治療中断率は下がりましたか?
・ドクターや衛生士の生産性目標は達成しましたか?
・ユニット1台あたりの生産性は増えましたか?
・新患やメンテナンス移行患者は増えましたか?
その前に事業目標を立てているでしょうか?
「事業目標を立てないと達成されない」ってご存知でしょうか?
さらに言えば事業目標の前に、経営を定量的(数値)に分析出来ているでしょうか?
財務諸表の分析だけではありません。
診療データの分析が必要なのです。
「スタッフが一人退職した」
「勤務ドクターが入替った」
「広告を見直した」
「コミュニケーションシステムを強化した」等
ということでも診療データは変化します。
数値を分析できても解決法を知らなければ改善しない
キャンセル・中断が増えた場合にも、「キャンセルはご遠慮ください」という張り紙をするとか、初診カウンセリングでお願いするとかの対策ではモグラ叩き(対処療法)にしかなりません。
「何故そうなったのか?」「何が足りないから目標に近づかないのか」という改善ポイントを発見し、根本的に解決するスキルも必要なのです。
院長がCRM(顧客管理システム)を導入しても、データから問題点を抽出して解決するスキルがないと、せっかくのCRMが活かせないのです。
キャンセル・中断の増加は人の問題であったり、広告の問題であったり、コミュニケーションシステムの問題であったりします。
一番してはいけないのは「患者の問題」にして腹を立てることです。
キャンセルする患者を無意識に集めているのは医院だからです。
そこで起こる数値の変化を見て、問題点を予測し早期に対策をしていくのです。
スタッフが患者の変化に気づき、数値を分析すると問題点が発覚することもあります。スタッフが感じる変化は的を得ていることが多いので、気づいたことを報告する仕組みになっているのかも大切です。
また、収益の柱である治療コンテンツの売上推移を分析し、コンテンツに将来性があまりないなら、それに代わるコンテンツを育てていかなければなりません。以前ブログに書いた「貢献率」をみることも必要なのです。
今後の歯科医院経営を考えた場合、提供できる歯科医療の質(技術、コンテンツ)を高めていくことは必須ですが、患者から受取る対価を国が決めていることにも注意が必要です。
そして患者に提供する歯科医療の質を高めながら経常利益額を増やす為には、戦略と戦術を明確にして、チームに落しこまないといけないのです。
診療の質を高めることが生産性の向上につながるか!
よく見かけるのは、診療の質を高めることが経常利益を増やすことに繋がらず、再投資資金を確保できないことです。
どんな事業でも同じですが、
①固定費を投下し、
②資金を増やして戻す
③そして増えた資金を再投資する
ということを考えていくことが必要です。
ということは「固定費の投下内容」を考え抜くのが経営なのです。
①歯科医療従事者としての良心
②経営者として事業を発展させ、従業員の生活と地域医療を守る
の両立で悩まれる院長は多いと思いますが、私は両者は矛盾していないと考えています。
”経営と良質の歯科医療は両立する”のです
歯科医院経営の話を書けばキリがありませんが、今回はこれ位で留めておきます。
Posted at 14:14