診療圏調査って当てにできるの?
歯科医院を開業する時に気になるのが、どこで開業すれば
何人の患者さんが来てくれるのかという事。
多くの方は診療圏調査をして、結果の数字に一喜一憂され
ます。
ただ、この診療圏調査はほとんど当たりません。
多業種で考えるとわかり易いと思いますが、「美味しくて愛
想の良いパン屋さん」と、「イマイチで愛想の悪いパン屋さん」、
同じ場所にあった場合、同じ数のお客さんが集まるでしょう
か?
初動でやってくるお客さんは変わりません。新しく出来たパ
ン屋さんに興味を持ってやってきますが、そのパンを食べた
お客さんは家族や近隣の友人に口コミ(良・悪)をしますので
、その後にやってくるお客さんの数が変わってくるのです。
良い評判を聞いた場合には遠くからでもやって来ます。逆に
悪い評判なら近くても行きません。
また、お客さんが求めているものがそこにあるのかによって
も違います。美味しい「食パン」なのか「バゲット」なのか「カレ
ーパン」なのか「クロワッサン」なのか?
そこそこ美味しいパンであれば種類にはこだわらないならば、
「家から近い」「遅くまで開いている」などの利便性で選びます。
開業の時にオマケでやってくれる診療圏調査では、開業地
に何人の人が住んでいて、その〇%が来院すると何人の患者
さんが来る可能性があるというものですから当てにはなりませ
ん。というか、一次診療圏(500m)二次診療圏(1km)って誰
が決めたのでしょうか?
実は診療圏の広さは場所によって、おこなう診療内容によっ
て変わるのです。だから医院によって広さが変わるのです。
単純に診療圏内の人口によって決まるものではありません。
以下に書くことは簡単に行えます。
だから業者さんに任せずに自分でやってみましょう。
①何時にどんな人がどんな方法でどっちからどっちに向かって
その場所を通るのか?
②時間帯ごとの地域の人口は?
③過去5年間の人口の増減
④14歳以下の人口と増減
⑤65歳以上の人口と増減
⑥ファミリー、単身者、DINKS、高齢夫婦、高齢単身者の比率
⑦共働き世帯の比率
⑧外国人の増加傾向
⑨地域の開発情報
(スーパーの建設、駅の再開発等、人口や人の流れが変わる
可能性のある情報)
⑩競合歯科医院の状況,地域の住民の要望
→ 自分の足で歩いて、外に出ているお年寄りなどに歯に対
する要望や、他医院の評判を聞いてみましょう。
私は相談をいただくと必ず街頭インタビューをしますが、
皆さん快くお話しいただけます。
⑪幹線道路、鉄道、河川、坂道、学区、工場など、人の流れを
遮る障害物の位置
⑫小学校、中学校の学年ごとの生徒数、増減傾向
等々、まだまだ調べることはたくさんあります。
そして一番大切なのが、先生がやりたい診療と地域の需要が
マッチしているかということです。
開業場所の選択は先生の一生を左右する可能性があります。
他の人に協力はしてもらっても、候補地の分析を任せることだ
けはやめましょう。
次回は開業時の業者選定、設備投資のあり方について書き
ます。
『「歯科開業の三種の神器」って開業時に必要ですか?』
Posted at 08:58